世界3大飲料に含まれる関与成分 【新規の機能性関与成分を探して】内臓脂肪減少、マテ抽出物開発企業が届出
ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸類の届出は以前からある。コーヒー豆などに由来するそれがいくつも届け出られている。一方で、世界3大飲料の1つに数えられる「マテ茶」の原料になるモチノキ科植物、マテの葉を由来とするクロロゲン酸類は現時点でただ1つ。今年2月に初めて届出公開された新規の機能性関与成分だ。内臓脂肪の減少機能を訴求できる。
常磐植物化学研究所のマテ抽出物「マテソール」
マテ葉由来クロロゲン酸類を届け出たのは、植物抽出物メーカーの㈱常磐植物化学研究所(千葉県佐倉市、立﨑仁社長)。同社は昨年4月、新製品としてマテ抽出物「マテソール」を発売。カフェオイルキナ酸やジカフェオイルキナ酸といったクロロゲン酸類の含有量を20%以上、かつカフェインレス(0.5%以下)で規格化したもので、この届出の公開をもってマテソールは機能性表示食品対応素材になった。
同社が届け出た機能性表示は、「マテ葉由来クロロゲン酸類はBMIが高めな健常成人の内臓脂肪を減らす機能が報告されています」。科学的根拠はPRISMA2020に準拠したシステマティックレビュー。同社はマテソールの継続的な摂取が腹部内臓脂肪面積に及ぼす影響を検証するため、BMIが高めの健常者を対象にした臨床試験を国内で行い、国内学術誌上で論文発表。その上で、PRISMA 2020に準拠したSRを実施した。
この科学的根拠に基づくマテ葉由来クロロゲン酸類の1日あたり推奨摂取量は60mg。それを含む原材料のマテソールとしては同300mgであり、最終製品への配合量に無理はない。マテソールは水溶性に優れるのも特長で、同社は機能性表示食品の清涼飲料水への展開を視野に入れ、液体中での安定性の検証を進めている。
一方で、マテ葉由来であることの新規性はあるものの、内臓脂肪減少の機能性表示は、由来の異なるクロロゲン酸類でも行われている。またクロロゲン酸類に限らず、その機能を訴求できる機能性関与成分は多い。そうした中で、マテ葉由来クロロゲン酸類およびマテソールの特徴をどう打ち出していくのか。
原材料GMP認証工場で製造管理も強みに
差別化のポイントについて同社はまず、植物としてのマテの魅力を挙げる。その葉を用いた飲料であるマテ茶は世界三大飲料の1つであるほか、ビタミン・ミネラル、フラボノイドが豊富に含まれるため「飲むサラダ」と呼ばれている、などといった背景がこの植物にはあるためだ。実際、マテソールに含まれる栄養素の含量を調べると、マグネシウム、カルシウムといったミネラルの含有量が高いという。ちなみに、マテ茶の主要消費地は南米。その消費量は日本における緑茶の年間消費量をはるかに上回るとの調査もあるという。
このほか、品質を打ち出していきたい考え。というのも、マテソールを製造する同社の生産拠点(千葉県佐倉市)は、(一社)日本健康食品規格協会(JIHFS)による第三者認証を受けた原材料GMP(適正製造規範)工場。今般の機能性表示食品制度の改正で、サプリの製造・品質管理に義務付けられることになったGMP基準の対象から原材料は外されているものの(ただし、原材料もGMPが望ましいとされている)、GMPに基づき製造・品質管理が行われた原材料は市場での優位性を持つ、と同社は見ている。
マテ葉由来クロロゲン酸類の届出実績を作り、マテソールが機能性表示食品対応素材になったことで、同社として供給できる同対応素材は累計9つ。そのうち、いわゆる「メタボ」関連の対応素材は、空腹時血糖値の低下および食後血糖値の上昇抑制を訴求できるバナバ葉抽出物(製品名=コロソリン酸-18%)と、お腹の脂肪減少機能の緑茶抽出物(同=ティアカロン)と合わせて3素材となっている。
【石川太郎】
(冒頭の画像:常磐植物化学研究所の新たな機能性表示食品対応素材「マテソール」のロゴマーク。南米の赤土と太陽(Sol)、そしてマテ(Mate)の葉をイメージしたという)
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