厚労省、中国産いちごに初の検査命令 残留農薬「ブピリメート」検出で
厚生労働省は9日、中国産のいちごおよびその加工品について、食品衛生法第26条第3項に基づく「検査命令」を発出したと発表した。輸入届出ごとの全ロットに対して、農薬「ブピリメート」の残留検査を義務づけるもので、中国産いちごに対する残留農薬の検査命令は今回が初となる。
同措置は、検疫所でのモニタリング検査により、複数の冷凍いちごからブピリメートが基準値(0.01 ppm)を上回って検出されたことを受けてのもの。具体的な違反事例は以下のとおり。
輸入者:八木通商㈱/輸出者:QINGDAO REDSEAL INTERNATIONAL TRADING CORP., LTD./包装者:SHOUGUANG TIANCHENG HONGLI FOOD CO., LTD.
重量:23,000kg/届出先:大阪検疫所
検査結果:ブピリメート0.02 ppm検出/到着日:令和7年1月27日/違反確定日:同年2月6日/措置:全量積み戻し
輸入者:八木通商㈱/輸出者・包装者:上記同様
重量:23,000kg/届出先:大阪検疫所
検査結果:0.03 ppm検出/到着日:6月11日/違反確定日:6月26日/措置:全量保管中
輸入者:㈱京進/輸出者:DALIAN HEGEL INTERNATIONAL TRADING CO., LTD./包装者:SHENZHEN HONGXIANG FOOD CO., LTD.
重量:5,093kg/届出先:横浜検疫所
検査結果:0.03 ppm検出/到着日:6月8日/違反確定日:7月1日/措置:全量保管中
ブピリメートは殺菌剤として用いられる農薬で、欧州食品安全機関(EFSA)が示す許容一日摂取量(ADI)は、体重1kg当たり0.05mg/日とされている。仮に体重60kgの人が、ブピリメート0.03 ppmを含むいちごを毎日100kg食べ続けたとしても、健康影響の懸念はないという。
なお、昨年4月1日から今年年7月3日までの中国産いちごの輸入実績は、届出件数607件、総重量8,497トン。そのうちブピリメートに係る検査件数は33件で、違反件数は3件だった。

※上の図は、中国産いちごの輸入実績(2024年4月1日から25年7月3日まで:速報値)