サラシア物語~試練と再出発(中) 混迷と対立を超えて「サラシア」名称統一への道のり
無効審判請求による商標登録の取り消しに伴い、「サラシア」という名称が一般名称として自由に使用できるようになったとはいうものの、同業界を覆う霧はなかなか晴れなかった。
商標無効後も続いた業界の二極化と対立構造
業界は大きく分けて、コタラヒムグループとサラシアグループの2つに割れていた。主に、㈱パールエース(塩水港精糖)、㈱シールド・ラボ、㈱盛光などが参加するコタラヒムグループに対し、森下仁丹㈱および㈱タカマと同社が組織する「サラシアの会」会員企業らの勢力である。
当時の業界紙は、両グループに配慮し、「コタラヒム特集」と「サラシア特集」の担当者を分けて特集企画を組んでいたほどである。ちなみにサラシアの会には、このたび医薬品成分「エフェドリン」混入の原因を作った松浦薬業㈱も加入していた。
また、業界には2グループの間を行ったり来たりする得体の知れないブローカーが存在しており、彼らの周りには、原料の販売権や特許権を巡る怪しいうわさが絶えなかった。
影で暗躍するブローカーも
「サラシア」や「コタラヒム」を巡る業界の混乱はなおも続く。暗躍するブローカーや企業の相関図は複雑だ。これまでに登場した企業以外にも、スリランカから原木を輸入販売する商社的な活動を担う事業者がいくつかあった。筆者が知る限り、カギを握る人物が3人ほどいた。元富士フイルムの幹部だったというK社のA氏、スリランカ政府から独占輸出の許可を取り付けていると豪語するS社・B氏、そして元S社の顧問でもあり、A氏の資金援助により会社を立ち上げたといわれるM社・C氏の3人だ。(⇒つづきは会員専用記事閲覧ページへ)
(つづく)
【田代 宏】
(冒頭の写真:サラシアの原木)
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