1. HOME
  2. 健康食品
  3. サラシア物語~試練と再出発(前) “幻の薬草”はなぜ揺れ続けるのか?

サラシア物語~試練と再出発(前) “幻の薬草”はなぜ揺れ続けるのか?

 医薬品成分「エフェドリン」混入問題で揺れるサラシア業界だが、この「サラシア」という原料はいったいどんなルーツを持っているのか?
 どのような道のりをたどりながら健康食品業界に現在の地位を築いたのか?商標権を巡る問題、事業者間の金銭トラブルなど一時不幸な道筋をたどりながらも、サラシア属植物普及協会の設立にこぎ着けることでようやく日の目を見たサラシアだったが、ここに来てまた大きな試練の時を迎えることとなった。いくつものターニングポイントを乗り越えてきたサラシアの足跡を振り返る。

アーユルヴェーダ由来の秘薬「サラシア」とは

 サラシア属植物はインドやスリランカに生息するツル性植物で、アーユルヴェーダの有用植物として知られていた。「サラシア」は、インドの伝承医学アーユルヴェーダで7つの力という意味を持つとされている。
 インドやスリランカを中心に約200種が自生するサラシア。中でも日本国内では、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・キネンシス(Salacia chinensis)、サラシア・プリノイデスSalacia prinoides)――などが知られている。アーユルヴェーダの古文書にも登場するこの植物は、古来より疾病予防の秘薬とされ、健康維持のための生活に溶け込んできた。注目成分「サラシノール」はその象徴だが、最も活性が強いのがレティキュラータと言われている。

 筆者の手元には、ある企業が分析したとされる効能評価グラフがある。「コタラヒム」、「サラシア・オブロンガ」、「サラシア・レティキュラータ」などの糖の吸収阻害率を品種別に示したデータである。横軸(X軸)にエキスの濃度(μg/ml)を取り、縦軸(Y軸)に阻害率(%)が示されている。これを見ると、コタラヒム由来の有用成分であるコタラノールが10μg/mlの時点で80〜90%の高い阻害率を示し、以降もほぼ横ばいで最大95%以上の効果があるとされており、同じサラシア属植物でも産地・処理方法により阻害活性が大きく異なることが分かる。

学名からサラシアへ、名称の混乱と商標の壁

 「サラシア」という名称が市民権を得たのは、ほんのわずか15年ほど前のことである。それまでは健康食品業界においてさえ、前述したとおり、オブロンガやレティキュラータなどのさまざまな学名やコタラヒム、コタラヒムブツという名称が飛び交い、業界人でさえ混乱を免れなかった。
 ちなみに、コタラヒムの学術名がサラシア・レティキュラータであり、コタラヒムブツとは原産地における現地名である。コタラヒムはスリランカに自生する植物で、サラシアはインドを原産地とする。プリノイデスやキネンシスもその一種だが、後者はミャンマーやタイにも自生すると言われている。

 ではなぜ業界ではさまざまな呼び名が用いられていたのか? それには相応の理由があった。2000年当時、ある企業が「サラシア」の商標を出願登録し、独占していたのである。表示(見た目)としての商標見本、検索や管理のための検索用文字情報(商標)、称呼の全てを取得し、他社の使用を妨げていた。サラシアの名称で商品を販売していた企業は当時、商標権侵害で同社から使用中止を求められていた。その企業とは・・・(⇒続きは会員専用記事閲覧ページへ)

(つづく)
【田代 宏】

(冒頭の写真:サラシアの原木)

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ