機能性表示食品の情報公開訴訟報告会 【7/8】消費者庁の「のり弁」非開示訴訟について
6月6日、最高裁判所第三小法廷は、消費者庁を相手取って起こされた機能性表示食品の成分検証に関する情報公開訴訟において、原告・佐野真理子氏勝訴の判決を言い渡した。主文では、東京高裁判決を破棄し審理を差し戻すとした。これは、食品行政の透明性と国民の知る権利を正面から支持する判断。
これを受けて食の安全・監視市民委員会は7月8日、都内で報告会を開催する。
発端は「機能性関与成分」の検証報告書
訴訟の対象となったのは、消費者庁が2016年に研究機関へ委託した検証事業である。これは、機能性表示食品に含まれる164の機能性関与成分(146品目)について、分析方法の妥当性などを調査したもので、制度の根幹にかかわる検証結果がまとめられている。
2018年、食の安全・監視市民委員会共同代表の佐野真理子氏は、情報公開法に基づき報告書の開示を求めて東京地裁に提訴。22年の地裁判決、23年の高裁判決により、佐野氏の一部勝訴が確定した。
これを受け消費者庁は、各品目の分析方法に対する評価(〇・△・×)を一覧表として開示したものの、コメントやメモ欄をのり弁当さながらの黒塗り状態とし、報告書本文中の制度の問題点に関する記述も非開示のままとした。
最高裁は「公益性」を重視
23年10月、佐野氏は最高裁に上告。通常であれば棄却されるケースが多い中、同件は受理され、25年4月25日には最高裁で異例の弁論が開かれた。弁論では、代理人の中下裕子弁護士と原告本人である佐野氏が意見陳述を行った。
そして6月6日午後4時、最高裁は判決を言い渡した。消費者庁が主張した「開示により監視方法や評価基準が推知され、制度の運用が妨げられる恐れがある」との懸念に対し、最高裁は「むしろ開示によって分析手法の改善が促され、行政の透明性と信頼性の向上につながる」と明確に反論した。これにより、本件は東京高裁へ差し戻され、再度審理が行われることとなる。
食の安全・監視市民委員会は、判決を受けた報告会「機能性表示食品データ公開訴訟報告会」を7月8日午後2時から東京・四谷のプラザエフで開催する。
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