消費者庁長官に堀井奈津子氏 次長に日下部英紀氏、それぞれ7月1日着任
消費者庁の新井ゆたか長官が7月1日付けで退任し、後任に厚生労働省人材開発統括官の堀井奈津子氏(=写真左)が就くことになった。また、吉岡秀弥次長が同日付けで内閣府政策統括官(経済財政分析担当)に異動し、後任に外務省大臣官房審議官(国際協力局、経済局担当)の日下部英紀氏(=同右)が就く。
新長官に就く堀井氏は、1990年東北大学法学部を卒業後、旧労働省(現厚生労働省)に入省。職業安定局派遣・有期労働対策部外国人雇用対策課長、雇用環境・均等局雇用機会均等課長、雇用環境・均等局長を経て昨年7月、人材開発統括官に就任。この間、消費者庁消費者制度課長や愛知県副知事なども務めた。
新井長官、最後の定例会見
退任する新井ゆたか長官は26日午後、最後の定例会見を行い、3年間の任期を振り返った。この間、社会的な課題として同庁の対応が要請された事案が数多く発生したと述べ、不当寄付の勧誘問題をはじめ能登半島地震、ビッグモーター事案、そして紅麹関連製品事案を挙げた。
これらの「至急の対応を要する事案」に対しては、「目の前の対応で終わることなく、消費者の権利・利益の保護という観点から、事案の背景にある根本的な問題を洗い出し、将来的な施策の在り方に反映するということを常に意識してきたつもりだ」とした。

会見終了後、ぶら下がり取材に応じ、紅麹関連製品事案を受けて4月までに大きく改正した機能性表示食品制度について、「消費者の信頼を得られる制度にすることが目標だった。それに向けて一歩一歩進んでいるところだ」と語った。
改正した機能性表示食品制度には、天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品(サプリメント)の製造・品質管理に対し、法令に基づくGMP基準の遵守義務規定を導入した。
これについて長官は、「機能性表示食品の製造工程(管理のレベル)を大きく底上げすることになる。それは消費者にとって非常に良いことであると同時に、事業者にとっても、(GMP基準に基づき管理することで)消費者に安心して使っていただける機能性表示食品を作ることができる」と話し、消費者と事業者の「双方にメリットがある」と強調。その上で、今後、業界が機能性表示食品の公正競争規約を策定、運用していくことに期待感を示した。
また、健康食品業界のイノベーションは機能性表示食品に向かっているとの認識を示し、「イノベーションの芽をつぶしてはいけない。そういう意味でも、(新しい機能性表示食品制度はこれまでの課題が)クリアリングできている」と述べた。
【石川太郎】
(文中の写真:最後の定例会見に臨む消費者庁の新井ゆたか長官)
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