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食品用器具の安全評価再構築へ 消費者庁、今年度初の器具・容器包装部会開催

 消費者庁はきのう26日、令和7年度「第1回食品衛生基準審議会器具・容器包装部会」を開催した。ポジティブリストに掲載されている既存物質の評価方針、フタル酸エステルの取扱い、モノマー等通知の改正について審議した。会議の模様はYouTubeで生配信された。

既存物質を6分類に整理し、優先度に応じた対応を検討

 既存物質の評価方針では、これまでの議論において、物質をリスク評価の優先度で分類すると、物質群1(食品成分又は食品添加物に該当する物質)、物質群2(分子量1,000以上の物資(重合体に限る))、物質群3(米国、EUのいずれか又は両方で食品添加物として認可されている物質)、物質群4(米国、EUのいずれか又は両方で合成樹脂等の添加剤として使用が認可されている物質)、物質群5(物質群1~4以外のばく露量が低い物質)と物質群6(物質群1~4以外のばく露量は低くない物質)に分類することができるとしている。

 既存物質のリスク評価の進め方として、まず、リスク評価の優先度が⾼いと考えらえる物質群6について、知⾒が収集されたものから順次、⾷品安全委員会にリスク評価の依頼をすることとしてはどうかとした。物質群5については、ばく露量⼜はばく露機会が少ないと考えられるものであり、⼀定の安全性が確認されていることを踏まえると、基本的には現⾏のリスク管理⽔準において健康被害が発⽣する可能性は低いと考えられることから、リスク評価の優先度は低いと考えられる。このため、現時点では個別のリスク評価は⾏なわないとしてはどうか(ただし、対象物質による健康影響等に関する情報は適宜収集し、必要に応じてリスク評価を依頼する)とした。

物質群6は「危険」という意味ではない

 物質群1〜4については、これまでの検討通り、国内外でリスク評価がなされていること等からリスク評価の優先度は著しく低いと考えられるため、現時点においては個別のリスク評価は⾏なわないこととしてはどうか(ただし、対象物質による健康影響等に関する情報は適宜収集し、必要に応じてリスク評価を依頼する)とした。

 リスク評価の優先度によって分類したが、物質群5においても6においても、遺伝毒性は陰性であるということは確認している。ばく露量について追加の情報を待っているという意味で6に分類されているに過ぎず、決して6が特別危ないというということではないと付け加えた。

 また今後の進め⽅については、リスク評価を依頼する物質について、国⽴医薬品⾷品衛⽣研究所を中⼼に、毒性試験等のデータを収集・整理し、本年末を⽬途に、具体的なリスク評価依頼の計画を策定し、改めて本部会において議論してはどうかとした。

3-メチル-1,5-ペンタンジオールを「必須モノマー」に変更

 2020年6月より導入された食品用器具・容器包装に係る合成樹脂原材料のポジティブリスト制度が、令和7年6月に完全施行された。今回の改正は、事業者からの要請に基づき、モノマー等通知別紙12「エステル結合を主とする重合体」に関するものである。これまで「任意の物質」として扱われていた3-メチル-1,5-ペンタンジオールを、「必須モノマー」へと変更した。
 本件については、事業者から50mol%以上の使用を前提とした申請があり、提出された溶出試験および安全性試験の結果を基に、国立医薬品食品衛生研究所の専門家による意見を聴取した結果、安全上の問題はないと判断された。これを受け、モノマー等通知の改正が正式に報告された。

フタル酸エステルに関する取り扱い、個別規格は不要との結論

 消費者庁は、食品用器具・容器包装に使用される化学物質であるフタル酸エステル類のうち、5物質(BBP 、DEHP、DNOP 、DINP、DIDP)について、すべての合成樹脂製品に使用されたと仮定しても、推定一日摂取量(EDI)は耐容一日摂取量(TDI)を大きく下回ると評価した。市場では実際の使用割合が低いため、ばく露リスクはさらに低いと推定され、ポジティブリストの使用制限を守れば安全性に問題はないと結論づけた。このため、個別の溶出規格は設定せず、2009年の審議会諮問も取り下げる方針とした。

【藤田勇一】

会議資料はこちら(消費者庁HPより)

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