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JIHFS、袴塚GMP審査委員長が講演 外から見ていた健康食品業界の印象と今後

 サプリメントのGMP第三者認証機関である(一社)日本健康食品規格協会(JIHFS。東京都文京区、池田秀子理事長)は24日午後、2025年度定時総会を都内で開催し、今年4月1日付でGMP審査委員長に就任した袴塚高志氏(=写真)が副理事長に就く、新たな役員体制を決めた。総会後に開いた記念講演会には、来賓の健康食品業界団体幹部なども含めて約80人が出席。講演は、「外から見ていた健康食品業界の印象とJIHFSの今後について」と題して、袴塚氏が行った。

天然物医薬品の立場から天然物が多い健康食品に軸足

 袴塚氏は、天然物化学を専門とする薬学博士で現在63歳。東京大学薬学部と東京理科大学薬学部に合わせて16年3カ月在籍した後、厚生労働省の研究試験機関、国立医薬品食品衛生研究所の生薬部に移り、16年3カ月にわたり室長及び部長を歴任。天然物医薬品の標準化をはじめ品質確保、国際的ハーモナイゼーションに関する研究に従事した。定年で退官後、今年3月末までの3年間は、日本薬科大学薬学部教授(社会薬学分野)として後進の教育にあたっていた。

 漢方や西洋ハーブ医薬品など、天然物医薬品に関連する研究などを行う国立衛生研生薬部に在籍中は、厚労省と連携して食薬区分や指定成分等含有食品制度などに関わっていたこともあり、健康食品を規制する側にいた。そうした中で、袴塚氏ら生薬部がデータを取りながら把握していた健康食品の問題点としては、「品質が一定しないものがある」、「表示と内容物が一致しないものがある」、「欧州で医薬品扱いの西洋ハーブが健康食品として流通している」、「無承認無許可医薬品が流通している場合がある」──などがあった、と袴塚氏は当時を振り返りながら語った。

 一方で、袴塚氏が専門としてきた天然物医薬品も、現行の薬事行政の中心に据えられている化学医薬品との対比で、「いろいろ問題を指摘される側」だ。なぜなら、基本的に高含量の単一成分で成り立つ化学医薬品にはない特殊性が天然物医薬品にはあるからだ。それは、混合物であるがゆえの多成分・低含量・多様性(バラつき)といった特殊性であり、そのことは、医薬品の開発と普及にとって重要な「標準化」が化学医薬品と比べて難しい、という事情につながる。

 それでも、医薬品である限りは標準化が必要で、そのことは、天然物由来の健康食品にも当てはまる、と袴塚氏は講演で強調。「医薬品でも大変なことを健康食品でやるのはさらに大変だが、ある程度標準化しないと品質確保ができない」と標準化と品質管理の関係を説きつつ、標準化に必要なこととして、①原材料の本質・基原の明確化、②製品・原材料の品質を確保するための基準・規格、③基準・規格への適合性を確認するための試験法・分析法──の3つを挙げた。

JIHFS、サプリの製造・品質管理と安全性保証に寄与できる

 「食品と医薬品のせめぎ合いが起こっている」。医薬品の側にいながら食薬区分や指定成分などに関わってきた袴塚氏は、そのように感じてきたという。

 「食品側からすれば、おいしさ、食感、色などに加えて、医食同源の文化背景が我々(日本)にはあるのだから、食品の機能性を活用したいという思いがある。逆に、医薬品の側からすると、安全性を考慮し、医薬品を食品として利用させてはならないという強い思いがある。だから食薬区分は、食品側からすると『最後の障壁』である一方で、医薬品側すると『最後の砦』である、という意識。そのように(食品側と医薬品側で)意識がだいぶ違うということが、今は分かる」

 また、食品側にとってポジティブな規制緩和が進むことは、医薬品側からすると、「非医」領域における懸念点が増えていくことを意味したという。

 講演でそのように語った袴塚氏は今、JIHFSのGMP審査委員長や副理事長として健康食品の側にいる。その立場にいる身としては、「規制緩和を上手く利用しながら、その中でどう管理していくかをしっかり考えないといけないと思っている」と述べた。また、医薬品と違ってリスクがあってはならない、ましてや生命に関わるリスクは問題外である健康食品の業界が健全に発展していくためには、「健康食品及び原材料の標準化、品質管理・製造管理、安全性保証の推進が必要」だとし、JIHFSは、健康食品やサプリメントの「品質管理・製造管理、安全性保証に寄与できる」と語った。

【石川太郎】

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