食の安全を問う6項目 市民団体が参院選前に全政党へ質問状送付
食の安全・監視市民委員会(佐野真理子・山浦康明共同代表)は、来る参議院議員選挙に際し、国政を担う各政党に対して「食の安全」に関する政策の姿勢を問う質問状を送付した。これは、消費者の視点に立った政策判断の材料を有権者に提供することを目的としたもので、各党からの回答は、同団体の機関誌およびホームページで公表する。
同委員会は2003年に設立された市民団体で、食品安全委員会や厚生労働省、農林水産省、消費者庁、消費者委員会などに対し、市民の立場から提言を行い、食品関連事業者の監視活動などを通じて、食の安全と信頼の確保に努めてきた。
今回の質問状では、以下の6項目に関する政策の見解を求めている。
1.輸入食品の安全性に関する見解
米国との通商交渉における農畜産物の輸入拡大により、米や牛肉、大豆などの安全性が脅かされること、また輸入時の検査体制の不備や、ポストハーベスト農薬やBSE関連の規制緩和の懸念について見解を問う。
2.ゲノム編集食品に関する見解
届出義務がなく、表示の義務も課されていないゲノム編集食品について、安全性や環境への影響の評価を求め、届け出の義務化および食品や種苗への表示義務の導入を要望。これらに対する政策姿勢を尋ねる。
3.有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に関する見解
水道水や地下水の汚染源とされるPFASについて、日本における規制は不十分であると指摘。水質基準の強化、食品の基準策定、汚染源の調査・浄化、住民の健康調査の実施に対する見解を問う。
4.食品添加物の表示に関する見解
一括名表示や免除規定など、消費者に誤認を与える恐れのある現行表示制度に対し、すべての食品添加物を物質名で明記する全面表示の必要性について、各党の認識を求める。
5.加工食品の原料原産地表示に関する見解
「小麦粉(国内製造)」など、加工食品の原材料表示が誤認を招くケースを問題視し、生鮮原材料まで遡った原産地表示制度の改善について政策姿勢を問う。
6.機能性表示食品および健康食品の制度に関する見解
小林製薬の紅麹サプリ事件を受けて、機能性表示食品制度が安全性・機能性を事業者任せにしている点を批判し、制度の廃止を要望。また、インターネットCMを含む「健康食品」の宣伝・広告の規制を強化すべきと主張。これらに対する政策対応の見解を求めている。
回答期限は6月30日とされており、回答内容は公開され、参議院選挙における有権者の判断材料として提供される。
食の安全・監視市民委員会のホームページはこちら