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消費者庁「販売業者等」GL改正へ 「隠れB」対策強化と役務提供明記、パブコメ募集

 デジタルプラットフォーム上での取引が急速に拡大する中、個人間取引における事業者の範囲を明確にすることを目的として、消費者庁は「販売業者等」に係るガイドラインを改正する方向で整理を進めている。第7回取引デジタルプラットフォーム(DPF)協議会では新旧対照表の形式で改正案を提示。きょう17日から来月6日までパブリックコメントを募集する。

改正ガイドラインを踏まえた法運用強化へ

 消費者庁によれば、フリマサービスに関する消費者相談が8割強。そのうち購入者が約65%、出品者が約35%で、共に解約や配送関係の相談が多いという。
 他方、購入者および出品者共に「やり方が分からない」などの相談が消費生活センターに多数寄せられている。このことを踏まえ、まずは販売業者該当性を適切に判断し、関係法令の運用を図ることが重要としており、ガイドラインを踏まえた法運用を強化することを目指している。

役務分野の明記とCtoC取引に対する監視の充実

 13日に開かれた取引DPF協議会で消費者庁は、「ガイドラインについては、特に物品を中心としているため、これまでに得た知見を含めて、役務関係の記載を充実する必要がある」とし、「その上で、純粋なCtoCについては、場の提供者の役割は重要であり、利用者からの問い合わせ対応、取引の監視等の充実が期待される」と説明した上で、今回のガイドライン改正案を示すに至った。
 今後、事業者との役割分担、義務化の問題なども踏まえながら、官民一体の共同規制とすべく時間をかけて作り上げていく予定だ。
 今回の改正では、特に一般消費者を装いながら実態は事業者である、いわゆる「隠れB」への対応強化が焦点となっている。ガイドラインでは、「販売業者等」とは何か。営利の意思をもって反復継続して取引を行う者を指し、その該当性は客観的事実をもとに判断されるべきことを再確認している。

「隠れB」対策、具体例を多数明記

 新ガイドラインでは、「販売業者等」か否かの判断に当たり、商品や役務そのもの、販売方法、消費者の口コミなど多角的な考慮要素を示した。具体例としては、以下のような場合が該当性を推認させる事情になり得るとされた。
 オンラインで役務を提供する「情報商材」の他、トイレ修理・水漏れ修理・鍵の修理・害虫駆除などの「暮らしのレスキューサービス」など、営利目的で提供されることが前提と見られる役務。これまではポスティングなどによる比較広告として、デジタルプラットフォームに当たらないパターンだったが、昨今、スキルシェアのサイトの中に同様の役務提供がある。役務提供業者として屋号やその中身を表示している者もあるが、アカウントだけの表示も見出される。

 「特定の商品等のカテゴリー」においては、これまでのブランド品や健康食品、チケットなどの他に、「占い等」を追加した。これには人生相談なども含む。
 また、同一商品の複数出品や、評価・レビューが一定期間内に相当数寄せられている場合なども販売業者等への該当性を推認させ得るとしている。
 遺産相続対応の際の税務相談などを行っている場合、税理士が事務所などの名称を明示してスキルシェアサイトに出品しているケースもあるが、中にはアカウント名やニックネームで出品する者もある。

 一方で、贈答品や引越し・遺品整理などに起因する単発的な出品は、原則として「販売業者等」とは見なされないことも明示した。

プラットフォームの責任明示、2つの取組に期待

 ガイドラインでは第6項を新設した。
 売主・買主ともに消費者であるCtoC取引に関し、その取引自体は「取引デジタルプラットフォーム消費者保護法」の適用外であることを確認した上で、CtoC取引の「場」を提供するプラットフォーム事業者に対し、安全・安心な取引環境の整備が強く求められることを明記している。
 すなわち、法的義務の直接的適用はなくとも、実質的に取引インフラを担う存在として社会的責任があるという位置付けとした。以下、具体的に2つの取組が期待されている。

① 問い合わせ対応・通報対応・適切な措置
 利用者がトラブルや問題を感じた際に、問い合わせや通報ができる窓口を設けることが求められている。問い合わせを受けた場合には、「場の提供者」として丁寧かつ誠実な対応をすることが重要としている。また、対応にとどまらず、内容に応じて、出品の停止・規約に基づく取引の終了・補償)などの措置を講じることが期待されている。

② 取引の監視・模倣品対策・本人確認・エスクロー導入
 プラットフォーム事業者は、出品物や提供されるサービスに法令違反がないか監視を行うことが重要とされている。特に模倣品など不正商品を早期に検知・排除するために、AIの活用、鑑定サービスの導入などの積極的技術利用が推奨されている。さらに、利用者の本人確認を確実に実施することで、悪質な取引の予防を図るべきとされている。
加えて、エスクローサービス(代金と商品・役務のやりとりを仲介・保証するサービス)の導入により、取引の安全性を担保することが推奨されている。

【田代 宏】

パブコメの募集はこちら(e-GOVより)

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