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日本の食文化に貢献し続けて1世紀 『キユーピー マヨネーズ』次の100年に向けてグローバルなブランディング展開

 キユーピー㈱(東京都渋谷区、髙宮満社長)は今年、発売100周年を迎えた『キユーピー マヨネーズ』のプロモーションを多彩に展開している。取材では100周年のスローガン「still in progress. キユーピーマヨネーズ100年。そし、時間は止まらない。」に込められた思いをはじめ、商品開発や社会的課題に対するサステナブルな取り組み、さらには世界の展開へ注力など、マーケティング統括部マヨネーズ100周年担当の森田泰全氏に、さまざまな話を聞くことかできた。       

発売後1世紀を経ても「いまだ進歩の途上」の姿勢

 『キユーピー マヨネーズ』はグループの根幹を成す商品とあって、100周年プロジェクトでは海外を含むキユーピーグループ全従業員で取り組むことにこだわり、記念イベント立案や新商品の開発が進められた。プロジェクト統括の森田氏は前回90周年記念のプロジェクトにも携わったが、今回は3年前に各部門から20人ほどのメンバーが参加して立ち上がったと話す。


 「90周年との比較では、展開する規模がより大きくなっています。また、この10年間ではデジタル化が一層進み、社会や環境も大きく変化。健康や環境課題に対する意識がより高まってきました。それらを踏まえて100周年の節目に考えたことは、『私たちはまだ進歩の途上にある』ということです。そこから次の100周年に向けてどのような取り組みをしていったらいいのか、自社視点だけではなく、お客様視点、社会的視点に立ってメンバー間でさまざまな議論を交わしました。

 振り返れば100年前の発売当初は全くなじみのない調味料だったわけです。しかし時代ごとにお客さまニーズに応え寄り添いながら、新たな味わいの提案や容器の改良など、いろんなことにチャレンジし、その結果、現在のように食卓で親しまれる調味料となりました。これからも次の100年に向けて新たな挑戦を続けると共に、新しい価値も見つけて提供していきたいと考えています」
 

 より栄養価の高いマヨネーズを届けたいという思いで卵黄タイプにこだわり発売したキユーピー マヨネーズ。卵黄タイプのコクのある濃厚な味わいもあり、今も高い支持を得ている。100周年を機に行った若年層への調査では「キユーピー マヨネーズを食べると力が出る」「疲れて帰ってきてからマヨネーズをかけて食べるとホッとする」などポジティブな意見が多かったそうだ。自分たちが思う以上に、情緒的な価値を感じてもらえているのだという新たな発見もあったと森田氏は話す。
 「これからも卵黄タイプのマヨネーズの新たな魅力をお客様に伝えていきたいですね。それも国内だけではなく、世界へという視点を打ち出すことができたのも今回の100周年の節目ならではの“収穫”です。またインバウンドのお客様は日本で食べた卵黄タイプのキユーピー マヨネーズを『今までのマヨネーズとは全く違う味わいだ』と、自国に戻った後に、SNSなどで広めていただく機会が増えました」

新商品やイベントを通じて新たな味わいの提案を行う

 同社では今春より、キユーピー マヨネーズが世界中で親しまれる調味料となることを目指して、世界統一のコンセプトによるブランディングをスタートさせた。これは『KEWPIE IT.』をメッセージにしたブランディングで、制作したWEB動画では、色鮮やかな食卓とリズミカルな音楽の演出が印象的なビジュアルとなっている。

(上の写真:グローバル戦略として新たに制作された動画とグラフィックス。キユーピー マヨネーズをかけることで出会える新しい食体験を「KEWPIE IT.」とし、色鮮やかな食卓を表現している)


 現在キユーピー マヨネーズのブランドは世界79カ国および地域(24年11月時点)で、それぞれに合ったフレーバーを展開しているが、100周年のプロモーションの一環としては今回、世界のマヨネーズ料理が味わえるキッチンカーイベント『World Mayo Kitchen』を全国7都市(東京・福岡・名古屋・大阪・仙台・札幌・広島)で開催中だ。WEB上でも連動し、特設サイトでは世界で親しまれているマヨネーズ料理を始め、海外拠点で働くキユーピーグループ現地スタッフお勧めの創作マヨネーズ料理100品を公開。サイトの中から食べたい料理を投票してもらい、選出された上位30品をセットにして、例えば東京・六本木の開場ではその中から22のメニューをキッチンカーにて提供した。


 「ここまで大々的に全国を回って行うイベントは100周年ならではの試みでした。4月上旬時点で東京と福岡は開催済みですが、世界のマヨネーズ料理が楽しめるのはもちろん、一食300円など、リーズナブルに設定した価格もあってとても好評です」


 また、世界各地で今トレンドとなっている調味料とキユーピー マヨネーズを掛け合わせたマヨネーズタイプの調味料『世界を味わうマヨ』シリーズを今年2月から2カ月ごとに2品ずつ、計6品が数量限定で順次販売中だ。
 「世界の地域ごとにマヨネーズの在り方や味わいも違っていて、スイーツのように甘いものや、スパイシーなものもあります。キユーピー マヨネーズは卵黄タイプですから、それらにもうまくマッチングするのです」
 キッチンカーイベントも、「世界を味わうマヨ」も、いずれも「世界」をテーマにしており、キユーピー マヨネーズがこれから日本だけではなく、世界で親しまれる調味料になっていくことを願って企画されたとのこと。

100周年の感謝の気持ちを込めた特別なプレゼント企画も実施

 今回のプロジェクトでは、全従業員にアンケートを実施して企画や事業アイデアを募った。その結果、まずはお客様に100周年を迎えられることの感謝の気持ちを伝えようと実施されたのが「キユーピー マヨネーズ100th Anniversaryプレゼントキャンペーン」(5月31日応募締切)だ。1つは、プラチナカラーの衣装を着たオリジナルのキユーピー人形『キユピ・コレ2025プラチナキユーピーセット』を当選者1万人に贈呈。もう1つは、マヨネーズ発祥の地とされる「スペイン メノルカ島4泊6日ツアー」に20組40人を招待するというもの。マヨネーズ作り体験やマヨネーズを使用した名物料理を提供するレストランでの食事など、一生の思い出にしてもらえるようなツアープランを策定した。

 「私も現地に下見に行きましたが、メノルカ島は欧米人のバカンスに最高の島と呼ばれる場所です。またツアーに当選しなくても、抽選で100人に自宅でスペイン料理を楽しめるミールキットが当たるダブルチャンスもありますので、5月末までふるって応募いただければと思います」
 ちなみに、マヨネーズ発祥の地はスペインのメノルカ島の港町マオンという説が有力だ。18世紀半ば、フランスのリシュリュー公爵が出会った「マオンのソース」を母国に持ち帰ったことが、世界に広がるきっかけになったという(※諸説あり)。

健康志向に合わせた商品開発と食の課題を解消するための研究

 定番商品のキユーピー マヨネーズを中心に現在では、そのラインアップも幅広く展開している。消費者の健康志向の高まりと共に、健康に配慮した商品開発にも注力。91年にはカロリーを50%カットした『キユーピーハーフ』を発売。その後に75%カットの『キユーピーライト』(現在は80%カット)やコレステロール0mgの『キユーピーゼロ』も発売した。さらに健康寄与への研究を続けてコレステロール高めの人向けの特定保健用食品(トクホ)『キユーピーディフェ』や、血圧が高めの人向けの『キユーピー アマニ油マヨネーズ』、内臓脂肪を減らしたい人向けの『キユーピー フィッテ』といった機能性表示食品もある。また、卵アレルギーがある人には『キユーピー エッグケア(卵不使用)』など、体質的な理由でマヨネーズを食べることを控えている消費者に向けた商品開発にも積極的に取り組んでいる。

 さらに、食にまつわる課題を解消するための研究にも注力している。例えば和洋女子大学・大学院教授との共同研究では高齢者が食べにくさを感じる野菜などの食材にマヨネーズや乳化状のドレッシングを使用することで食べやすくなることが分かった。加齢によって食べる力が衰えた高齢者の低栄養解消には、日常の食事にマヨネーズや乳化状のドレッシングを用いることの有効性についても、今後は情報発信をしていく構えだ。
 
 商品の安全で持続的な提供の取り組みも強化している。例えば近年には、年月日表示から年月表示に移行するため保存テストを行い、賞味期限は未開封であれば従来の12カ月からさらに1カ月間先の13カ月の品質保持が可能となっている(一部容量)。さらに容器を軽量化することでロジスティクスにも貢献。循環型社会を目指し、回収からボトルtoボトルへのリサイクルに向けた研究や実証実験も進めている。
 「そうした社会的課題の解決に向けた努力は今後も続けて行きますが、やはり今回のプロジェクトに関わったメンバーとして願っていることは、100年後の食卓にもちゃんとキユーピー マヨネーズが存在していることです。そのためには若い方々の情緒面の変化や、共にキユーピー マヨネーズを味わった人と人のコミュニケーションにもひと役買う調味料としてどのように認知され、好感を持って賞味されるか、そこが大事だと感じています」
 

 100年後の食卓にも存在感ある調味料としてあり続けたい、そんな思いも込められた今回の周年プロジェクト。森田氏をリーダーとする今回の取り組みが、1つの良い「道標」となって、次世代以降につながっていくことを期待したい。

【堂上昌幸】

(下の写真:100周年を記念したマヨネーズタイプ調味料『世界を味わうマヨ』6品。上の左から2月発売の「濃厚BBQソース味」「甘辛スイートチリ味」、4月発売の「しびれ麻辣味」「芳醇トリュフ味」、6日19日発売の「コク深アイオリ味」「旨辛シラチャー味」。卵黄タイプ、独自技術で醸造したマヨネーズ専用酢といったキユーピー マヨネーズならではの特徴を生かしながら、世界で親しまれている調味料とかけ合わせることで、新たなおいしさを追求した数量限定の新商品だ)

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