食育白書が示す食品ロスと食の安全 食品表示の理解促進と国際的な連携強化へ
農林水産省がきのう公表した令和6年度「食育白書」では、食品の安全性や栄養に関する知見の普及とともに、消費者への正確な情報提供の強化が重要な施策として位置付けられている。
特に第2部第7章では、食品の安全性や栄養に関する調査・研究の成果を活かしながら、消費者が自ら適切な選択を行うための情報提供の充実が必要であるとされた。その一環として、食品表示に関する理解促進が明示されている。これにより、消費者が表示内容を正しく理解し、食品の安全性や栄養価を意識した購買行動を取れる環境づくりが目指されている。
農林水産省では、2024年度は、子供を対象とした食中毒予防の情報発信を関係団体と協力して重点的に実施。また、中学校の調理実習の事前学習用動画を作成し、文部科学省と連携して周知を行った。
さらに、国際的な連携として、日本食・食文化の情報発信も記載されており、日本独自の表示制度や栄養に関する基準の国際理解を促進する動きが強調されている。食の安全に対する国際的な信頼構築と、国内外の消費者に対する適切な情報発信体制の整備が進められていることがうかがえる。
地産地消と食品ロス削減に向けた地域連携の強化
一方、第2部第5章では、生産者と消費者の相互理解を深めるための取組として、「地産地消の推進」および「食品ロスの削減」が取り上げられている。
地産地消については、地域の農林漁業の活性化と、地域住民の食への関心を高める取組として評価されている。地場産品の活用を通じて、直売所の整備、地域資源を活用した新商品開発に取り組むことで、食材の生産背景や地域の食文化を知る機会が増えることで、食の理解と地元経済の活性化の双方に寄与することができる。
食品ロスの削減に関しては、消費段階での意識改革と行動の変容が求められている。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」では、持続可能な開発目標(SDGs)において、小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料廃棄の半減等をターゲットとして設定。この「2030アジェンダ」も踏まえて、我が国では家庭系食品ロス量を2030年度までに2000年度比で半減させる目標を設定。事業系食品ロスについては、2000年度比で半減させる目標を達成したことから、新たな目標として2030年度までに2000年度比で60%削減させる目標が設定されている。
白書では、家庭や学校、地域など日常のあらゆる場面で、食品を無駄にしない行動を促す啓発活動や教育プログラムの実施が推進されており、持続可能な食の実現に向けた地道な取組が進行中である。
【編集部】
詳細はこちら(農水省HPより)