機能性食品原材料市場「緩やかに拡大」 44素材対象に矢野経が調査、23年度は前年度比2.9%増と推計
健康食品やサプリメントなどに使用するコラーゲンやDHA・EPAなど計44素材(原材料)における2023年度の市場規模は、流通金額ベースで前年度比2.9%増の2,496億1,100万円と緩やかながらも増加したと推計される。
市場調査会社の㈱矢野経済研究所(東京都中野区)が今年2月から4月にかけて調査し、9日に発表した。合計流通量は9万4,553トン、前年度比は1.0%のプラスと推計。一般食品用途での活用が引き続き進んだという。
一方、24年度については、「供給量にも鈍化がみられた」とした。要因としては、小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題により生じた最終製品の一部定期購入の停滞のほか、素材供給事業者がPRISMA声明2020準拠への対応に追われたことによる機能性表示食品の届出公開ペースの鈍化。それに伴い、新規の届出を手控える企業が現れたことを挙げた。
それでも同社は、24年度の同市場規模について、前年度比プラスの2,563億4,300万円を見込む。
「機能性表示食品への採用を前提としない素材へ注力する素材供給企業や、既存素材の新規分野への開拓を進める動きが活発化していることにより、健康・機能性食品素材市場は緩やかに拡大し続ける見込み」
同社は24年度の同市場の概況をそのように分析。また、同市場の今後について、「日本国内での健康・機能性食品素材の成長が鈍化する中で、海外に新たな成長を求める動きが今後も広がる」として、素材供給事業者が海外進出を活発化させると予測した。
台湾をはじめ香港、タイ、ベトナム、インドなどのアジア圏を中心に、「健康・機能性食品素材への引き合いが増加している」という。
【石川太郎】
(冒頭の画像:健康・機能性食品素材(44素材)国内市場規模推移。矢野の経済研究所の報道発表資料から)