食薬区分の非医リスト、植物が大改正 すべてに学名追記、統合あるいは分割さらに削除も
医薬品医療機器等法に関連する「食薬区分における成分本質(原材料)の取り扱いの例示」(食薬区分)を構成する「医薬品的効能効果を標ぼうしないかぎり医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(非医リスト)のうち、「植物由来物等」に関わるリストが全面的に改正されることになった。
食薬区分を所管する厚生労働省の監視指導・麻薬対策課は16日、改正案を公表して意見募集(パブリックコメント)を開始した(18日付既報)。
改正案は、非医リストに現在収載されている植物由来物を、専ら医薬リストに引き上げるようなものではない。だが、収載されている植物のすべてに学名を追記。また、名称や他名を変更したり、これまで別の植物として区別していたものを統合、逆に、同じ植物に分類していたものを分割したりといった変更を全体的に施すものとなっている。
学名の追記によって、原材料に使用している基原植物の再点検が必要になる可能性がある。また、名称等の変更で混乱が生じることも考えられる。加工食品などに使用する植物の抽出物等を取り扱う事業者や業界団体は、改正案の中身を精査し、必要に応じて意見を出す必要がありそうだ。意見募集期間は来月16日まで。
「ガルシニアカンボジア」改め「ガルシニア・グンミグッタ」
改正案によれば、例えば「ガルシニアカンボジア」については、名称を「ガルシニア・グンミグッタ」に改め、学名は「Garcinia gummi-gutta (L.) N.Robson」とし、他名等は「ガルシニアカンボジア/ゴラカ/タマリンド」とする。現行リストにおいて他名等は「インディアデイト/ゴラカ/タマリンド」となっているが、監視指導・麻薬対策課によれば、「ガルシニアカンボジアとインディアンデイトは別植物」。そのため、インディアデイトを分割し、その名称を「タマリンド」、学名を「Tamarindus indica L.」、他名等を「インディアンデイト」などとする。
他に、「カシス」を「クロスグリ」に統合、「ターミナリア・ベリリカ」を「セイタカミロバラン」に統合、「インドアマチャ」や「カシュトウ」などは基原植物が不明のためリストから削除、「タケ類」は「タケノコは明らかに食品であり、本リストに掲載する意義が乏しい」(同課)ため削除──などと随所で見直しを行っている。
今回の植物由来物等の非医リスト見直し案は、食薬区分を審議する有識者グループ「医薬品の成分本質に関するワーキンググループ」が2023年6月から今年3月まで計6回のワーキングを行い、取りまとめたもの。見直しの目的は、リスト作成から時間が経過したことに伴う「品目の重複や基原植物の混乱等」を解消するためとされている。
【石川太郎】
関連資料:改正案(政府のパブリックコメントサイトへ)
:見直しのポイント(同上)
:2025年3月31日食薬区分ワーキンググループ議事概要
:リスト記載整備の考え方(同上)
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