日清ファルマの健康食品事業、移管へ 原材料も含めグループのオリエンタル酵母に
㈱日清製粉グループ本社(東京都千代田区、瀧原賢二社長)の子会社、日清ファルマ㈱(同、田中秀邦社長)が手がける健康食品事業が、同じく子会社のオリエンタル酵母工業㈱(東京都板橋区、新井秀夫社長)に移管されることになった。同事業とともに展開してきた、医薬品原薬製造販売のファインケミカル事業は来年3月末までに終了する。日清製粉グループ本社がこのほど発表した。
日清ファルマが販売する『ビフィコロンS』や『パワーサプライNMN』などのサプリメント「リブロン」シリーズは来年4月以降、販売者がオリエンタル酵母に変わる。コエンザイムQ10をはじめとするサプリメント原材料の販売に関しても同様だ。日清製粉グループは、酵母を軸にした食品原材料およびバイオ事業を展開するオリエンタル酵母に健康食品事業を全面的に移管することで、同事業のさらなる発展を図りたい考え。
日清製粉グループ本社の発表によれば、高脂血症治療薬の原薬を製造販売する日清ファルマのファインケミカル事業は「販売低迷により厳しい事業環境」に置かれている。そのため、事業の集中と選択の観点から、来年3月末までに同事業を終了することを決めた。上田工場(長野県)で行っている原薬の製造は今年10月末に終える予定だ。
一方、健康食品事業については、「競争環境が厳しい中で、さらなる発展を目指すための対策が必要」な状況。そこで、「グループにおいて食品素材の開発力があり、健康食品事業の資産を有効活用し、事業をさらに発展させることが可能」と判断したオリエンタル酵母への事業移管を決めた。「(健康食品事業は)一定の売り上げがあり、成長可能性も見込める。ポジティブな事業移管」(広報部)と説明している。
日清ファルマは、日清製粉グループが分社化した2001年に設立。グループの祖業、製粉事業における小麦と小麦粉の化学的分析から展開したビタミン研究によって事業が始まった経緯がある。一方、オリエンタル酵母は、1929年に製パン用イースト製造企業として発足。直近売上高は723億5,300万円(25年3月期)、従業員数は約700人(25年3月末時点)と規模も大きい。
【石川太郎】
(冒頭の写真:「リブロン」シリーズのオリエンタル酵母への移管を伝える日清ファルマの公式通販サイト)