医療脱毛クリニックの破産で相談急増 東京都、2月の消費生活相談状況を公表
東京都が公表した今年2月の消費生活相談受付状況によれば、同月の相談件数は2,163件で、前月比2.4%減だったものの、前年同月比では1.2%増となった。とりわけ注目されるのは、「医療サービス」分野の相談件数が90%増と大幅に跳ね上がった点だ。背景には、医療脱毛サービスを提供していたクリニックの破産がある。
医療脱毛被害、「全額前払い」トラブルが続出
今回の「医療サービス」関連の相談急増の大きな要因は、破産手続中の脱毛クリニックに関するもの。寄せられた相談には、「1年前に医療脱毛5回コースを全額前払いで契約したが、破産により2回分が未施術のままになっており、返金を求めたい」といった内容が多く見られた。高額な先払い契約が保護されない事態に、消費者の不安が顕著となっている。
脱毛クリニックの名称の記載はないが、同事案は昨年12月10日に東京地方裁判所から破産開始決定を受けた医療脱毛大手「アリシアクリニック」の事案と思われる。負債総額は124億7,133万円、債権者は9万1,818人に上る。
また今月16日には、全国に170店舗を展開していた美容脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を運営するMPH㈱に対して、従業員ら債権者が東京地裁に第三者破産の申し立てを行うなど脱毛に関するトラブルが相次いでいる。
若年層を中心に懸念拡大
29歳以下の「若者の相談」は308件で、前月比6.6%増、前年同月比6.9%増と増加傾向にあり、なかでも18~19歳からの相談は27件と、前月比58.8%増、前年同月比22.7%増と急増している。成年年齢の引下げ以降、消費契約トラブルに対する若年層のリスクが顕在化している。
高齢者の相談も増加傾向
高齢者(60歳以上)からの相談は723件と、前月比ではわずかに減少したが、前年同月比では7.3%の増加となった。固定電話による不審な電話など、特に高齢者を標的とするトラブルは引き続き高い水準で推移している。
今回の報告では、医療脱毛サービスのように長期的な契約や高額な前払いを伴うサービスには、慎重な対応が求められることが改めて浮き彫りとなった。特に若年層においては、契約前の情報収集と保護者などへの相談が不可欠。また、破産や倒産リスクを見越した契約内容の慎重な確認や、クレジットカード決済による保護制度の利用検討など、トラブル回避の手段を事前に講じることが望まれる。
【編集部】
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