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新規届出、PRISMA2020義務化 【改正・機能性表示食品制度の全貌】法令化された科学的根拠に関する規定

 機能性表示食品のサプリに生じた健康被害と、機能性表示食品の科学的根拠の「質」は、次元が異なる問題だ。しかし、前者に端を発して改正された機能性表示食品制度には、後者にもメスを入れられた。システマティックレビュー(SR)のPRISMA声明2020準拠の実質義務化を筆頭に、科学的根拠に関する規定が法令化された。規定の内容は、これまでとさほど変わらない。だが、法的拘束力を有するところがこれまでとは異なる。

2020準拠、既存届出も対応不可避か

 PRISMA声明2020(以下、2020)は、SRの報告に関する国際的な指針。初版のPRISMA声明2009の更新版で、より透明・完全・正確な記述を報告者に求めている。2021年に公表された。

 機能性表示食品のSRは、もともとPRISMA声明2009に準拠することが届出ガイドライン(以下、運用通知)に規定されていた。それを改め、2020準拠を原則とすることが決まったのは、2023年9月。同年6月末に発生した、機能性表示食品の広告表示とともに、表示していた機能性自体が優良誤認とされる景品表示法違反事案が背景にある。違反認定は、科学的根拠として届出されたSRの内容に踏み込むものだった。

 SRを科学的根拠とする機能性表示食品の届出は、届出全体の9割超に及ぶ。その中で、2020準拠には、経過措置が取られた。制度を所管する消費者庁は、事業者の対応に一定の準備期間が必要だと判断。25年4月1日以降、新規届出については2020準拠を必須とすることにした。小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題は、その経過期間中に起きた。

 紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応を昨年5月に取りまとめた関係閣僚会合。「制度の信頼性を高めるための措置」として、「PRISMA2020の準拠について令和7年4月からの新規届出から導入」する方針を掲げた。

 もともと決まっていたことではあったが、23年当時とは意味合いが異なる。2020準拠に関する規定を運用通知から法令に引き上げ、それを実質義務化するという意味だ。

 法令とは、今般の機能性表示食品制度の見直しに絡み、昨年9月に施行された食品表示基準の一部を改正する内閣府令(以下、食品表示基準)に基づく告示のこと。今年3月25日公布、4月1日施行の「機能性表示食品の届出等告示」(以下、届出等告示)がそれに当たる。届出の方法、提出しなければならない資料、その記載要領などを定めた法的拘束力を持つ法令だ。

 この告示において、SRの2020準拠が規定された。4月1日以降、SRの新規届出は2020に準拠していなければならない。

 一方で、それ以前に届け出されたSRには、その義務はかからない。そのため、2020準拠SRへの変更届出を行うかどうかは事業者の任意となる。

 だが、4月1日にシステム更改された届出データベース(DB)は、SRの2020準拠状況を表示する仕様に改められている。消費者庁は、機能性表示食品の利用を検討する消費者にDBで情報検索するよう呼び掛けている。2020準拠は消費者が商品選択するときの指標の1つになる可能性がある。

 また、改正制度では、年に1回の頻度で、届出内容の自己点検・評価および報告することが義務化された。4月1日より以前の届出も同様だ。その義務を果たすためには、新たな知見が報告されていないか、定期的に確認する必要があるだろう。

 同庁は、「制度の信頼性を高めるため」だとして、既存届出についても2020に準拠すること、それを通じて科学的根拠の再検証を行うよう、強く求めている。義務ではないものの、2020準拠のSRに変更しておくのが届出者の責務といえそうだ……

【石川太郎】

(この続きをお読みいただけるのはウェルネスニュースグループ会員のみです。残り約1,800文字。全文は、「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2025年4月号(第82号)特集「改正・機能性表示食品制度の全貌」の12~13頁から)

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