経口補水液の販売ルール、来月施行へ 誤使用防止に向けた新たな表示義務と販売条件が明文化
消費者庁は2024年12月に改正した次長通知および内閣府令に基づき、特別用途食品「経口補水液」の表示および販売に関する新たなルールを6月1日より施行する。誤用による健康被害のリスクに対応するため、表示義務の強化や販売形態ごとの留意事項が明文化され、メーカー・小売業者には実務対応が求められる。
医師の指導前提 清涼飲料水と区別を明確に
経口補水液は、下痢や嘔吐による脱水症状への対応を目的とした病者用食品であり、ナトリウムやカリウムなどの電解質を多く含む点で一般の清涼飲料水とは異なる。
そのため、脱水状態でない健康な人が日常的に摂取すると、短期的に健康に悪影響を及ぼす可能性があるとされている。
新ルールではこの点を踏まえ、「経口補水液」の販売方法に関する詳細なガイドラインが追加された。たとえば、実店舗で販売する場合は、商品を他の飲料と明確に区別して陳列し、医師からの指示を受けて使用すべき旨をシールやポップで表示することが求められる。
オンライン販売や自販機にも条件
インターネット販売においては、購入前に「医師の指導がある場合のみ使用」などの重要表示内容について、消費者が確認・同意するプロセス(チェックボックスなど)を設けることが推奨されている。
また、自動販売機での販売についても、画面表示などで購入前に注意事項を確実に認知できる設計であることが条件とされ、一般飲料との差別化が強く求められている。
さらに、ラベルレス製品の販売は禁止される。これは購入後の使用段階においても、表示事項が確実に消費者に伝わるようにするためである。
メーカー・販売事業者には体制整備が必須
経口補水液の販売に際しては、医師や管理栄養士など医療関係者による説明体制の整備や、販売時の注意喚起を徹底するなど、実務対応の強化が求められる。
改正後の表示基準は、申請者が消費者への情報伝達手段を文書で提示することも要件となっており、特別用途食品としての責任が明確化された形だ。
消費者庁は、新制度の目的として「消費者の誤使用を防止し、国民の健康保護を図ること」を強調している。経口補水液を取り扱うすべての事業者は、新ルールを遵守した運用体制を早急に整える必要がある。
【田代 宏】
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