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BHN、研究開発拠点を首都圏に新設 背景に新規素材の開発加速、品質に対する要求の高まりも

 ここにきて研究開発の体制を強化したBtoB(対事業者)の健康食品関連企業がある。研究開発拠点を首都圏に新設して規模を拡大。高い性能を持つ分析機器も新たに導入した。機能性表示食品制度の改正などを受け、品質に対する要求事項が増している健康食品業界の環境に対応する狙い。サプリメントや健康食品を販売する企業への研究開発支援を通じて「業界全体の発展に貢献したい」と同社の社長は言う。

産学の研究機関多く集まる神奈川・横浜に

 産学の研究機関が集積する神奈川・横浜市に研究開発拠点を新しく立ち上げた健康食品関連事業者は、サプリメントや健康食品に使用する原材料の開発・販売をはじめ最終製品の受託開発・製造などを行うビーエイチエヌ㈱(BHN。東京都千代田区、恩田明広社長)。

 同社は、兵庫の播磨地域(たつの市)に生産拠点を構える。もともと研究開発部門も、品質管理部門に併設させるかたちでそこに置いていた。

 だが、「品質管理も強化しなければならない中で、研究開発の体制を広げるには手狭になった。それに(地方の)播磨では人材の確保が難しくなっていたこともある」

 研究開発部門を生産拠点から分離・独立させ、首都圏に新たな拠点を新設した理由を同社の研究開発担当者はそう話す。実際、拠点を首都圏に移したことで、分析などの専門知識を持つ人材をすぐに採用できたという。

 BHNが新たな研究開発拠点を置いた具体的な場所は、(公財)横浜企業経営支援財団が運営する「横浜新技術創造館(リーディングベンチャープラザ)」の2号館。東京駅から約40分、JR鶴見線の「鶴見小野」が最寄り駅。そこから徒歩で約5分のところにある。

開設は、約1年半前の2023年10月。「横浜ラボ」の名称でオープンさせた後、昨年11月、施設の使用面積をおよそ2倍に広げつつ「横浜研究開発センター」に改称。そして本格的な運用を始めた。現地を訪れて内部を見学させてもらう。

微量成分を高精度に分析、高性能質量分析装置を新たに

 同センターは、リーディングベンチャープラザ2号館の3階にある部屋を2つ占有。延床面積は約140平方メール。内部には、HPLC、LC-MS、マイクロプレートリーダー、中圧クロマトグラフィ、リサイクルHPLC──などといった分析機器等の装置が所狭しに並べられている。

 装置の多くは、旧拠点から移管した。ただ、「当センターの目玉の1つだ」と言うメタボローム解析などの生化学研究や食品の安全性評価、品質管理などに用いる質量分析装置、オービトラップ(高分解能LCMS)は、新規に導入したものだ。食品などに含まれる微量成分を高精度に分析できる。

 ここで出来ることは、細胞の培養をはじめ、細胞を使った安全性・機能性の一次的評価、植物などに含まれる成分の単離のほか同定(単離した成分が何であるかの決定)、原材料や製品に含まれる各種成分の定性および定量試験、そして人を対象にした簡易な機能性研究──。

 要するに、サプリメントや健康食品に使用する原材料の開発から安全性・有効性の検証、さらに原材料や製品の品質を確保するための分析までを、この場所で一気通貫的に行うことが出来る。

 もちろん、ここでは出来ないこともある。例えば、安全性や機能性を確かめるための動物試験などがそうだ。だが、近隣にある他の研究機関の協力を仰ぐことで、出来ないことが出来るようになる。それもあって、産学の研究機関が多く集積する横浜を新たな研究開発拠点に選んだ。

新たな研究開発拠点、「魅力ある製品作りに貢献できる」

 新たな拠点で取り組む研究開発のテーマは、大きく3つあるという。

 まず、機能性表示食品の機能性関与成分として届出が可能な「独自原材料」の開発(製造条件、規格基準などの検討および設定なども含む)。次に、その安全性や機能性に関するエビデンス(科学的根拠)の取得。そして、原材料や最終製品の品質を確保するための評価および分析。

 いずれも以前から取り組んできたものだが、東京・神田の本社から近く、人員や装置などを強化した新拠点を活用することで、それらのスピードと精度を高めたい考えだ。「魅力ある製品作りに貢献できる体制を整えることが出来た」と研究開発担当者は語る。

 ツバキ種子エキス(機能性関与成分=カメリアサポニンB2 )、完熟オクラシード(同=OF4949-Ⅱ)、BHNボタンボウフウ粉末(同=クロロゲン酸)──これらはどれも同社で開発した機能性表示食品対応素材。同社は今後、新たな研究開発拠点から新たな対応素材を生み出し、顧客企業の新規製品開発をサポートしつつ、新拠点をフル活用して、今後ますます要求事項が増えることが予想される安全性など品質の確保に応えようとしている。

【石川太郎】

(冒頭の写真:BHN横浜研究開発センターの機器室/文中の写真:左=細胞試験などに使う傾向顕微鏡、右=新規に導入したオービトラップ)

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