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身体を可視化し、健康への気づきを提供 気付きを提供、商品選択のヒントに、ヘルスケアシステムズ・瀧本社長に聞く 

 バイオ系スタートアップとして、からだの微量成分と健康の関係を研究してきた㈱ヘルスケアシステムズ(愛知県名古屋市)は、この成果を生かし、病気の手前の健康状態を調べる検査サービスを手掛ける。誰もが簡単に自分の身体の状態を知り、生活習慣のミスマッチをなくすことで健康を実現する世の中を目指す。(取材日:2月27日)

――大きく分けて3つの事業を展開されているようですが、詳しくご説明ください。

瀧本 当社の事業は、一般生活者向けの郵送検査事業と、食品メーカーやアカデミア、大学の研究機関から届く特殊な検査を行う受託分析事業、もう1つが、食品の有効性と安全性についての評価をする臨床研究事業の3つです。売上の構成比は、郵送検査事業が6割、臨床研究 事業が3割、受託分析事業が1割です。
 主力事業の郵送検査事業において、私たちは人々に健康になって欲しいという思いで検査をやっておりますが、その解決策を持っているわけではありません。つまり、病気を治したり、ある特定の治療方法を提案しているわけではなく、自分の身体の状態を可視化することで、健康のために何をするべきか、何をしてはいけないかといった気づきを提供しているということです。
今、世の中には、エビデンスがありその効果を訴求した食品やサービスが数多く存在します。このこと自体は選択肢が増え、決して悪いことばかりではないのですが、選択肢が多いがために自分に合った商品・サービスを探せない人が多いという現実を解決したくこの検査事業を行っております。

――商品やサービスがあふれ、本当に自分に合ったものが何なのかを選ぶことが困難になっています。

瀧本 メーカーやサービス提供事業者は、効果が期待できる商品やサービスを作ろう、そしてその訴求ポイントを知ってもらうことで、売上を伸ばそうとします。恐らく生活者は、そうしたメーカーなどのCMをたまたま見て良いなと思った、店頭に行ったら気に入ったパッケージがあったといった理由など、直感で選んでいる人が多いのではないでしょうか。
 また、健康行動とは、今だと思った時からスタートする必要がありますし、続けなければ意味がありません。何かを1回食べれば、あるいは1回運動すればそれで解決とはなりません、継続することが重要です。ですので、もし直感で行動して、体感で継続するかどうかで健康づくりをしているとすれば、期待していた成果を得ることはなかなか難しいといえそうです。
 私たちは「生活習慣のミスマッチをゼロにする」をミッションに掲げていますが、まさに、自分の身体の状態を可視化し、自分に合った食品や運動方法、生活習慣にたどり着くためのヒント、そのお手伝いをしたいと考えております。
 
 元々私たちは、名古屋大学初のベンチャー企業で、食品機能化学研究室という、抗酸化物質、ウコンのクルクミンやゴマのセサミンなどを研究する研究室から出てきた会社です。その抗酸化成分をターゲットにした酸化ストレスマーカーという抗体を作っていました。その効果を分析するということが会社の成り立ちで、現在は、さまざまな検査方法を自社で開発したり、各大学や企業によって開発段階にあるものを、最後のラストワンマイルの開発を共同研究として行い検査商品に仕上げるといったことを行っております。

――主力の郵送検査事業ですが、その利用者はどれぐらいいるのですか。

瀧本 この事業をスタートして12年が経過しました。開始当初の年間利用者数は約200人でしたが、直近では年間で15万人に利用されております。
 地域の薬局やドクターからの勧めだったり、雑誌での特集などを通じて一般生活者が直接当社にお申込みされるというケースが多いです。腸活や腸内フローラといった言葉も良く聞かれますので、そういった部分の影響もあるのではないでしょうか。
 当社では扱っていませんが、新型コロナの抗体検査キットが薬局で売られていたり、病院に行かなくても自分で検査するという時期がありました。これを機に、自分で自宅で検査するということに対する生活者の理解が深まったように感じます。これまで、馴染みがあったのは妊娠検査ぐらいだったかと思いますが、コロナ検査でその認識は一気に拡大したように感じます。

――年間利用者数20万人ということですが、健康意識の高いリピーターが多いのでしょうか。

瀧本 もちろんリピーターの方もいらっしゃいます。しかし、当社の検査商品、価格帯は2,000円~5,000円です。決して高いとは言いませんが、それでも検査のために毎月購入できるかというとなかなか難しい。検査項目にもよりますが、理想を言えば生活習慣の改善などでどの程度改善が見られるかを定期的に確かめていただいた方が良いものもあります。継続して使っていただけるようにするために、検査項目や方法、価格の見直し、さらには私たちのビジネスモデルの検討も必要だと思っております。あくまでも高齢者や富裕層といった一定層だけではなく、広く普及させたいと考えておりますので、自分たちでできる技術的な努力は必要だと思います。多くの人が気軽に検査できる状況を作りたいと思っておりますが、だからと言って価格を下げる=品質を下げるでは本末転倒です。

検査の品質低下を危惧、標準化させる取り組み

――新規参入もあり、さまざまな検査が行われています。検査の質は保たれているのでしょうか。

瀧本 これは真剣に取り組むべき課題です。少なくとも10年前と比較して、この市場は拡大しています。提供する事業者も、提供内容も増えていますし、検査を受ける人も増えています。もちろん多くの企業が参入し、サービス内容が充実、生活者の選択肢が増えることは良いことでもありますが、事業者やサービスが増えれば増えるほど、検査技術やサービスの質にバラつきがあることは、同業者の目から見ても明らかです。
 万が一、きちんと検査をしなくても適当に数字を返せばそれでいいという悪質な事業者が出てきたとしても、利用者には分かりません。食品ではありませんので直接的な健康被害は無いかもしれませんが、誤った検査結果を信用してしまったがために誤った安心や不安を引き起こしてしまったり、検診や受診の機会を喪失してしまう可能性があります。間接的に健康被害を引き起こす可能性があるということです。
 これは私たちも重要な課題だと感じており、現在、業界として標準化する仕組みを考えているところです。標準化し共通したルールを設けることができれば、新規参入したい事業者にとっても目安になりますし、何よりも利用する生活者に安心・安全を提供できます。個々の会社では限界がありますので、業界団体のような組織を作り、自主ガイドラインを作り品質を担保するという流れになると思います。

大阪・関西万博に協賛、身体の可視化を身近に

――大阪・関西万博を通じて、検査することが当たり前の世の中を提案されるということですか。

瀧本 とにかく検査のハードルを下げ、身体の可視化があたりまえにできる世の中にしたい。「大阪ヘルスケアパビリオン」は、パビリオンに行ってカラダ測定ポットで測定しますと、ミライの自分(アバター)が出来上がります。そのアバターがさまざまな体験を行うことで健康になっていく。自分のアバターを通じて健康的に生きていくための疑似体験ができるというものです。身体を可視化し健康に生きるための気づきを提供する。私たちが夢見ていることはまさにこれだ、ぜひ一緒に参加したい、そう思ってこの協賛を決めました。
 パビリオンには多くの方が来場されますが、最大4万人の方に事前に郵送検査を実施してもらい、当日、パビリオンで結果をお知らせするという仕掛けになっています。これを機会に、多くの方に検査を体験していただきたいです。私たちがやりたいのは、やはり、「カラダのものさし」を提案し、検査を起点としてさまざまな解決策を持つ事業者のみなさんと力を合わせて1人ひとりのミライの健康を実現すること。世界中の人が集まる国家プロジェクトである万博を通じて、こうしたことを発信していきます。
また、私たちはこれまでに、多くの自治体と地域住民の健康のための取り組みを実施してきました。継続的な健康への取り組みには、自治体、食品企業、サプリメントメーカーなど健康に携わる事業者全ての力が必要です。「健康」をキーワードとしたパートナーとして、一緒に人々の健康を創出する。そんな世の中を作りたいと思っております。

――ありがとうございました。

【聞き手・文:藤田勇一】

COMPANY INFORMATION
所在地:愛知県名古屋市昭和区白金一丁目14番18号(本社)
    東京都港区新橋五丁目27番1号パークプレイス5階(東京支社)
TEL:東京支社 03-6809-2722
URL:https://hc-sys.com/
事業内容:郵送検査事業、バイオマーカー、検体検査技術の研究開発・受託分析、機能性食品の臨床研究・研究開発、機能性表示食品の取得サポート

(下の写真:大阪・関西万博内に置く検査キットの写真/同社提供)

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