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高品質な臨床試験実施に貢献 ヘルスクレーム予測パッケージを新提案、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ・亀谷事業開発部長に聞く

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ㈱は、創業以来、メタボローム受託解析を通じてクライアント企業の研究開発支援を行ってきた。自社での技術開発や業務提携を通じて、メタボローム解析だけにとどまらないさまざまな解析サービスを提供する。「目利き臨床試験」である「ヘルスクレーム予測パッケージ」を通じ、臨床試験の効率化、高品質確保に貢献する。(取材日:2月21日)

2003年創業の慶應大学発ベンチャー

――御社の事業内容についてご説明ください

亀谷 当社が最も得意としているのが、「メタボローム解析」です。生体内には核酸(DNA)やタンパク質のほかに、糖、有機酸、アミノ酸などの低分子が存在しています。これらの物質の多くは、酵素などの働きによって作り出された代謝物質(メタボライト)です。生体内に含まれる代謝物質の総体(全て)を「メタボローム」(metaboliteと-omeからの造語)と呼び、その種類や濃度を網羅的に分析する手法のことを「メタボローム解析」、「メタボロミクス」と呼びます。
 当社では、革新的な測定技術「CE-MS法」を用いた解析技術を強みとしつつ、複数の測定機器を組み合わせることで、クライアントの目的に応じた解析を行うことを可能にしています。
 また、ヘルスケア・ソリューション事業では、機能性素材開発に関連した試験デザインなどのコンサルテーションから機能性・有効性成分の探索・同定、機能性評価試験、機能性表示の届出まで、全てワンストップで請け負うことが可能です。また、システマティック・レビュー(SR)を用いた機能性表示食品の届出についても相談を受け付けています。

 クライアント企業は製薬会社や大手食品、健康食品、一般食品、スキンケアメーカーなどです。健康食品分野ですと、メインは原料メーカー、独自素材を持つOEM事業者になりまして、新素材や自社の既存素材の新たな機能性を見出すための試験相談から解析依頼を多く受託しています。あわせて、最近では最終商品を販売する健康食品の通販事業者様からの依頼も増えています。
 素材の付加価値を高めるための機能であったり、その機能を発揮するための生産プロセスの改善、製造コストの見直しに関する相談もあります。この素材にはそもそもどんな成分が含まれていて、それがどんな機能を持っているのかといった、基礎的な分析に関する相談もあります。

――OEM事業者からの相談、提案というのはどんな内容ですか

亀谷 独自原料を持つOEM事業者の素材分析の他、素材配合による機能増強評価、生産効率の改善、品質管理に伴う同等性評価に関する相談などです。お取引のある原料メーカーと当社との3社での取り組みというケースも多いです。
 最終商品を販売する通販会社からは、最近、新製品を開発するに当たり、訴求したい内容から逆算した原料の選定、新たな機能性の評価といった、商品開発に関する相談が増えています。社内に研究部門を持たないため、その部分をアウトソーシングするということでしょう。

新たなサービスを展開「ヘルスクレーム予測パッケージ」

――今後、提案していきたい業種はありますか。

亀谷 もちろんどの業種からもご相談は受け付けます。なかでも最も親和性があるのは、やはり原料メーカーです。特にオリジナル原料を持っている原料メーカーには、その原料の付加価値を高めるためのご支援をしたいと考えております。
 そこでこのほど、原料の差別化を図るに当たり、いかに効率よく成分を分析し機能性を見出すことができるかという視点から、当社では「ヘルスクレーム予測パッケージ」という新たな支援サービスを開始いたしました。
 昨今は、脱動物のもと動物試験の代替手法や臨床試験のアウトカム達成率の向上、素材の新たな機能探索、差別化に伴う新たな機序や作用点の把握として、早期の小規模臨床試験を通して、早期の有効性予測や機能性評価を行うニーズが高まっております。本パッケージでは、小規模でのヒト試験で取得した代謝物質変動情報を、当社独自のアルゴリズムを用いて代謝物解析(水溶性・脂溶性1100成分のライブラリから検出された成分)し、摂取前後で有意差のある代謝物についてヘルスクレーム予測の解析を実施します。これにより、「素材の持つ機能性や摂取効果」を推定でき、効率的かつ早期に「ヘルスクレーム予測」を行うことができます。又、当社独自に設定した400個の機能キーワードからダブル・トリプルの機能や新たなヘルスクレームの探索ができますので、新規機能や新たな研究テーマの探索につなげることが可能です。
 本パッケージで得られた結果を基にポイントを絞った機能性評価試験の実施やヒト本試験と進めていきますので、効率的な機能性評価試験を実施することができ、開発時間の短縮、コストの圧縮も可能になります。
 また、本パッケージで得られた情報を本臨床試験に組み込むことで、さらに、主要アウトカムに関連するメカニズムの探索による評価項目に対する効果の検証、レスポンダー/ノンレスポンダーの探索・評価によるレスポンダーの特徴探索も可能になります。

――本パッケージを活用したマーケティングサポートについてご説明ください。

亀谷 本パッケージによって俎上に上がった機能価値について、1次解析データで予測されたヘルスベネフィットの競争環境の把握、性・年代・健康セグメント別に健康課題解決に対する潜在・健在ニーズの大きさの把握、ヘルスベネフィットに関する雑誌の露出数や検索ワード数など、量的に把握できる指標を用いたウェルネストレンド傾向の把握といった定量的な分析を行います。それを踏まえ、素材の持つポテンシャルを構造的に把握、素材の価値構造を踏まえて、有望な健康領域、その領域でユニークビジネスを発揮するために必要なエビデンズデータの在り方を議論しレポーティングするといった定性的な評価を行います。本パッケージを通じ、ただ漠然と機能性評価を行うのではない、「勝ち筋への導き」をさせていただきたいと考えておりま
す。

食品CROをサポート、臨床試験の質を担保

――臨床試験の質を危惧されていました。サポート体制についてお話しください。

亀谷 機能性表示食品制度が施行され10年が経過しました。これほどの市場に成長した背景には、食品CROの存在があります。一方で、ごく一部の食品CROによる臨床試験の質が問われる案件が発生しました。
 当社では、食品CROと常に連携し、業務支援を行っております。食品の臨床試験を依頼する場合、メーカーは、まず食品CROにコンタクトを取ります。食品CROが試験内容の提案を行う際に、当社のソリューションを活用いただくケースがあります。それにより、実施した臨床試験で思い通りの結果が得られなかった場合の原因、逆に思い取りの結果が出た理由の一助となる結果が提供できますので、次回以降の、より信頼度の高い試験提案につなげることが可能になります。

 特に、今回新たに提案を始めた「ヘルスクレーム予測パッケージ」をプレ試験や本試験に組み入れることで、より効率よく試験を回すことが可能になり、開発スピードの短縮、コストの圧縮の他、消費者ニーズに寄り添った商品開発につながると思っております。連携した食品CROからは、「新たな機序解明や作用点の把握などさらに付加価値の高い臨床試験が設計できるとともに保険のようなかたちでも活用させてもらっている」というお声をいただくこともあります。

 昨年発生した紅麹サプリによる健康被害事件で、消費者の機能性表示食品やその他の健康食品に対する不信感は増加しました。安全かつ、より効果を実感できる商品の開発にお役立ていただきたいと思っております。

――ありがとうございました。

【聞き手・文:藤田勇一】

COMPANY INFORMATION
所在地:山形県鶴岡市覚岸寺水上246-2(本社)
東京都中央区新川2-9-6シュテルン中央ビル5階(東京事務所)
TEL:03-3551-2180
URL:https://humanmetabolome.com/jpn/onestop/
事業内容:ヘルスケア・ソリューション事業(素材開発や検査系構築におけるワンストップソリューションサービス)。先端研究開発支援事業(メタボローム解析試験などの受託)。

(文中の写真:鶴岡サイエンスパーク内にある分析機器類(左)と本社がある鶴岡サイエンスパーク(同社提供)

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