オアシス、小林製薬旧経営陣を提訴 紅麹サプリ健康被害問題巡り約135億円の損害賠償請求
小林製薬㈱(大阪市中央区)の株式を昨年12月時点で10%余り保有する大株主、香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」が、小林製薬が起こした「紅麹サプリ」健康被害問題を巡り、同社創業家出身の元会長や元社長など旧経営陣に対し、約135億円の損賠賠償を求める株主代表訴訟を提起した。
オアシスが7日までに発表した。提訴したのは今月3日という。今年1月、提訴準備を進めていることを明らかにしていた。問題発生当時の取締役の責任を追及する。
オアシスの発表によると、訴訟対象は創業家出身の小林一雅元会長と小林章浩元社長の他、山根聡元専務(前社長)、元社外取締役の伊藤邦雄氏、佐々木かをり氏、有泉池秋氏、片江善郎氏の計7人。健康被害問題の背景とみられる、製品の品質管理体制の構築や危害発生・拡大の防止などの不備について、当時の取締役の善管注意義務違反があったなどと主張している。
オアシスは昨年11月、この7人に対して約110億円の損害賠償請求訴訟を提起するよう小林製薬に提案。同社の監査役は、全員について「善管注意義務違反を含む法令違反は認められない」として提案を退けていた。
オアシスは発表で、「小林製薬は引き続き創業家の強い影響下にあり、創業家と会社の意思や利益が対立していることは明らか」などと指摘。会社が創業家から脱却しなければ、コーポレートガバナンスは改善されないと訴える。
小林製薬は、先月開いた定時株主総会に定款変更の議案を提出。会長または社長が務めることとされてきた取締役会の招集権者と議長を、社外取締役が恒久的に務められるようにする定款変更を実施し、社外取締役による取締役会の監督強化を図ろうとした。だが、創業家株主らの反対を受け、3分の2以上の賛成を集められなかった。
【石川太郎】
(冒頭の写真:小林製薬の旧大阪工場)
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