消費者庁、届出等告示を公布 改正機能性表示食品制度、4月1日全面施行
消費者庁は25日、機能性表示食品の届出等告示を公布した。施行は来月1日。経過措置は行わない。小林製薬「紅麹サプリ」事件に端を発して生まれた、新しい機能性表示食品制度が新年度から全面的に施行されることになる。同庁は、告示の施行に合わせて、届出データベースのシステムを更改する。
届出等に関する手引き、質疑応答集も発出
告示の他に、機能性表示食品の届出等に関する手引きと質疑応答集も発出した。これらの施行も来月1日。手引きの施行に伴い、昨年8月に発出された現行の届出マニュアル(旧届出ガイドライン)は廃止になる。質疑応答集は、以前から運用していたものを全部改正の上で発出。約40問で構成されている。
届出の方法などを定めた届出等告示は、食品表示法に基づく食品表示基準(内閣府令)の規定に基づいて制定された法令で、構成は、条文、様式、記載要領の大きく3要素。機能性表示食品の新たな要件になる、食品表示基準に規定された遵守事項の遵守状況等の自己点検・評価及び報告(年1回)に関するチェックリストも規定されている。
他方、手引きと質疑応答集は、消費者庁食品表示課長通知にとどまる。従来の制度は、通知の届出ガイドラインを軸に運用されてきたが、改正制度の運用基盤は、法的拘束力を持つ法令になる。法令に定められた種々の規定は原則、事業者の任意ではなく義務。事業者責任に基づく「届出制」である制度の根幹は変わらないものの、機能性表示食品の届出に慣れている事業者は認識を改める必要がある。
届出ガイドライン、届出マニュアルと変遷を辿って新たに制定された手引きは、「内閣府令及び告示の制定に伴い、これまでの機能性表示食品制度の運用も踏まえて、食品関連事業者が届出時の諸手続に必要な内容を網羅的に参照できるように、整理したもの」と説明されている。ページ数は全体で約200ページに及ぶ。
制度運用の基盤に3つの法令
来月1日以降、機能性表示食品制度の食品表示法上の関係法令は、次の3つとなる。
① 食品表示基準の一部を改正する内閣府令(食品表示基準)
② 食品表示基準第2条第1項第十号イ及びロの別表第26の4の項イ及び別表第27の2の項第1号の規定に基づき、天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の製造又は加工の基準(サプリGMP告示)
③ 食品表示基準第2条第1項第十号イの別表第26の1の項から6の項までの規定に基づき内閣総理大臣が告示で定める届出の方法並びに同号ロの別表第27の2の項第八号の規定及び4の項の規定に基づき内閣総理大臣が告示で定める遵守すべき事項その他の必要な事項及び報告の方法を定める告示(機能性表示食品の届出等告示)
これら法令を補足するのが通知(現時点で手引き及び質疑応答集)という構図。①及び②は、健康被害疑い情報の収集及び報告の義務化とともに昨年9月に施行済み。
ただ、②で製造・品質管理基準が定められたサプリのGMP義務化は、来年8月31日まで経過措置。この経過措置は、①で規定の容器包装表示に関する新基準にも適用されている。とはいえ同庁は、「紅麹関連製品に係る事案を受け、制度の信頼性を高めることを趣旨としていることを踏まえ、速やかに改正後の規定に基づく対応」を行うよう求めている。
届出等告示の案、パブコメ結果公表
25日公布の③の届出等告示の案について同庁は、先月17日までパブリックコメントを受け付けていた。その結果を、25日に公表。23件88項目の意見が寄せられたという。
案には、同告示を構成する条文の一部に、「消費者庁長官は、届出を受理した場合には」などとする文言が含まれていた。パブコメ結果に関する公表資料によれば、これを疑問視する意見を受けて同庁は文言を修正。「届出者による届出をすべき手続上の義務が履行された場合には」に改めたという。疑問視した人物は、「受理」の用語は「許可」を連想させかねないと意見。「消費者に対しても誤解を与えかねない」などと指摘していた。
一方、最も多く意見が寄せられたのは、様式第5号(機能性に係る事項)に関して。意見を受け、複数の記載について微修正を行ったという。
【石川太郎】
関連資料:機能性表示食品の届出等告示(消費者庁ウェブサイトへ)
:機能性表示食品の届出等に関する手引きについて(同上)
:機能性表示食品の届出等に関する手引き(同上)
:「機能性表示食品に関する質疑応答集」の全部改正について(同上)
:機能性表示食品に関する質疑応答集(同上)
:機能性表示食品の届出等告示(案)に関する意見募集結果について(e-Govパブリックコメントへ)
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