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食品ロス削減の基本方針を閣議決定 国民運動として総合的な取り組み目指す

 政府は25日、「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」を閣議決定した。また消費者庁は同日、同方針の変更素案に関するパブリックコメントの結果も公表した。

 「多様な主体が連携し、国民運動として食品ロスの削減を推進する」ことを基本方針の目標と定め、食品ロスの削減の目標は、SDGsも踏まえて、家庭系食品ロスについては「第五次循環型社会形成推進基本計画」(2024年8月閣議決定)において、2000年度比で2030年度までに食品ロス量を半減させる(216万トン)という目標を設定しており、事業系食品ロスについては、今月19日、2000年度比で2030年度までに食品ロス量を60%削減させる(219万トン)という目標設定が行われた。
 基本方針においても、家庭系食品ロスについては2030年度を待たずに早期達成するなど、これらの削減目標の達成を目指す。また、食品ロス問題を認知して削減に取り組む消費者の割合を80%とする。

 これらの総合的な取り組みにおいて、消費者、事業者、行政、教育機関など社会全体が連携し、国民運動として推進していくことが重要としている。

 主な取り組みとして、「てまえどり(手前の商品を選ぶ)」や「ローリングストック(備蓄品の定期消費と補充)」の推奨。食べ残しの防止、小分けやリメイク調理の推奨。外食時の「30・10(さんまるいちまる)運動」(宴会時、最初30分と最後10分は食事に集中)」や持ち帰りを促進。

 食品関連企業は、規格外品の活用、賞味期限の見直し、納品期限の緩和などを進める。小売・外食業者は、食べ切りを促すメニューや容器の工夫などにより、食品ロスの削減を図る。フードシェアリング、フードバンクへの寄附を促進するう。

 食育の一環として、学校での食品ロス教育や、地域でのサポーター育成を推進する。「NO-FOODLOSS PROJECT」や「ろすのん」等のキャンペーンにより国民の意識を高める。
 また、需要予測の高精度化や物流効率化などにICT・AIを活用し、ロス削減を進めるに当たり、フードバンクや子ども食堂とのデータ連携モデルの構築なども盛り込まれた。

 行政は、地域特性を踏まえた食品ロス削減推進計画の策定を促進し、「災害備蓄食料の有効活用」、「地域循環モデルの構築」などの各自治体に合わせた取り組みを支援する。

 法制度・ガイドラインの整備も進める。食品寄附の法的リスクを低減するための法整備を検討する。
 食品寄附は、まだ食べられるにもかかわらず廃棄される食品(食品ロス)を、有効に活用する手段である。同時に、生活困窮者や福祉施設への支援という社会福祉的な側面も併せ持つ。
 ところが、企業が寄附をためらう要因の1つが、寄附食品による健康被害発生時の責任問題だ。この点について、政府は食品表示法や食品衛生法の観点からガイドラインを整備し、食品寄附に関する一定のルールや考え方を明確化することを掲げている。

 パブリックコメントへ寄せられた意見は44件だった。基本方針に対する賛同意見とともに、制度的課題、家庭内対策、寄附制度、安全性、表示の分かりやすさなど多岐にわたる意見が寄せられた。消費者庁は、寄せられた意見の一部を反映して方針を修正・明記したが、強制力の導入や新たな法制度については「今後の参考」とするにとどまった内容も少なくない。今後の課題は、制度的な不安の解消や、現場に即した柔軟な対応。食品ロス削減と食品安全と社会福祉のバランスをどう取るか、引き続き重要な課題とされている。

パブリックコメントの結果はこちら(e-GOVより)

関連記事:食品ロス削減方針決定 6割削減へ、事業系食品ロス

【編集部】

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