事件公表から1年、紅麹サプリの今 被害救済弁護団が現状報告、小林の対応に疑問も
小林製薬㈱(大阪市中央区、山根聡社長)は21日、紅麹サプリ事件が公表されてから1年を前に、「品質・安全の日」の取り組みを実施したと発表した。同社は同事件を公表した3月22日を「品質・安全の日」と制定し、同事案に関する社会全体の声・原因・同社の対応などを振り返り、「品質・安全ファースト」の風土の醸成・強化に資する取り組みを毎年欠かさずに行うとしている。
同リリースには、全国の事業所、グループ会社に勤める全ての従業員約3,200人を対象とし、同社が引き起こした問題を従業員自身が自分事として向き合い、各職場において「品質・安全ファースト」で仕事ができているかを内省する取り組みを行ったとしている。
他方、紅麹サプリ被害救済弁護団(弁護団長:日髙清司弁護士)は同日、大阪市内で記者会見を開き、昨年10月8日の結成からこれまでに受け付けた被害相談の状況などについて説明した。
同弁護団によれば、これまでに100件弱の相談を受け付けており、そのうち18件を事件受任済みという。
同弁護団の菅聡一郎弁護士は取材に対し、「損害賠償対応は十分に進んでいるとは言えない。また、死亡との関連が疑われる案件に対する対応も十分になされているか疑問。小林製薬の被害者認定基準、損害賠償基準は全く明確にされていない。対象製品から生じる腎関連疾患やその他の症状について、小林製薬や原因究明機関が持つ知見がより明らかにされるべき」と主張している。
「品質・安全の日」のリリースには、「健康被害にあわれたお客様と損害を受けられたお取引先様に対する謝罪と補償を何よりも優先し、誠実かつ適切に実行してまいります」とある。一刻も早い補償体制の確立と誠意ある補償の実施が望まれる。
【田代 宏】