期限表示見直しに向けGL改正へ 表示方法は今後の課題、Q&Aで追加へ
消費者庁は公示した「食品期限表示の設定のためのガイドライン改正案」のパブリックコメントを10日まで募集。それらを反映した修正案を18日、同ガイドライン見直し検討会(座長・五十君靜信 東京農業大学教授=写真:左から2人目)に諮り、おおむね了承されたことから年度内発表に向けた準備に入った。
検討会ではこれまで4回、食品の安全性と食品ロスの抑制という2軸で活発な議論を行ってきた。最終回となるこの日は、改正事項の内容に関する67件(全体で83件)のパブコメを踏まえてどのように修正を加えたか、特に安全係数の設定や表示方法について重点的に意見が交わされた。
食品の特性などに応じた客観的な基準の設定として、改正案では安全係数を1未満としている。しかし修正案では「微生物の増殖の観点であれば、例えば、加圧加熱殺菌しているレトルトパウチ食品や缶詰の食品、塩分が著しく高い又は水分活性が低いことにより微生物の増殖が抑えられる食品等、個々の食品の品質のばらつき等の変動が少なく、客観的な項目及び基準から得られた期限で安全性が十分に担保されている食品については、安全係数を考慮する必要はない」とした。
また、表示方法については各委員から「原材料の枠内だけでなく、いろんなところに表示されており、特に高齢者にとっては視認しづらい食品が散見される」、「開封後の保存方法については、顧客相談センターへの問い合わせも多い。消費者の手元に渡ってからの保存管理についての表示も必要」などの意見も出された。
表示方法に関する議論については、今後の課題として五十君座長と事務局の間で調整し、必要であればQ&Aなどに追加・反映を行う。
検討会の最後に挨拶に立った消費者庁食品表示課長の清水正雄氏(=写真左端)は、食品関連事業者に改正後のガイドラインを踏まえて、「食品の特性等に応じて科学的合理的な根拠に基づく期限の設定、安全係数の設定などを自ら考えて行うことを期待している」とした。また、今後については事業者や消費者への周知に努めるとともに、農水省など関係省庁とも連携して「各業界団体の個別食品に係る期限設定に係るガイドラインの見直しを促していく」と語った。
なお、今回の議事録は後日、消費者庁ウェブサイトに掲載される。
【堂上 昌幸】
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