大阪で健康食品に関する意見交換会 行政・消費者団体・事業者団体連携の重要性を確認
消費者庁と食品安全委員会は17日、大阪市内で「いわゆる健康食品に関する意見交換会」を開催した。同交換会は10日に東京でも開催しているが、今回、数人のメンバーが入れ替わって行われた。
会合は3つのテーマに沿って話が進んだ。まず消費者への効果的な安全性の情報の伝達について、次に機能性表示食品制度の見直しについて、さらにその他の健康食品も含めた安全性情報の効果的な伝達方法について話し合われた。
高齢者や健康不調を抱える消費者に対する適切な情報提供、業界としての自主的な安全性確保の取り組みなどについて議論が進む中、行政と消費者団体、事業者3者の連携がいかに大切かを確認し合うこととなった。
基調講演では、内閣府食品安全委員会シニアフェローの脇昌子氏が「食品安全委員会19のメッセージ」に基づいて、健康食品との付き合い方を示した。その後、消費者団体、事業者団体、行政から参加した6人が15分ずつの持ち回りでいわゆる健康食品の安全性確保に関する課題や取り組みについて発言した。
(一社)FOOCOM代表の森田満樹氏は、消費者庁の検討会の委員を数多く務めている。同氏は、消費者への情報伝達には公的機関のウェブサイトや対面型シンポジウムが効果的であると強調。高齢者や健康不調者にとって、医療現場や調剤薬局での専門家からの情報提供が不可欠と主張した。また、SNSやYouTubeを活用した公的な情報発信の必要性にも言及した。
(一社)健康食品産業協議会会長の橋本正史氏は、小林製薬が起こした紅麹サプリ事件に直面している現実を紹介。それを受けた正確な情報伝達の重要性を強調した。消費者リテラシー向上のため、業界としてGMPの要件化に向けた専門チームを設置し、マニュアル改善に取り組んでいる最中だとし、GMP基準適合の監視体制について消費者庁の協力を求めた。
福島大学食農学類の種村菜奈枝准教授は、ユニークな調査結果を紹介した。健康食品利用者の特徴として、高学歴者が摂取を中止しにくい傾向にあることを紹介した。説得のためには、科学的根拠と心理的アプローチを組み合わせた働きかけが重要だとし、コミュニティに入り込んだメッセージ伝達や、科学的イラストを用いた客観視の工夫の重要性を述べた。
大阪府健康医療部生活衛生室食の安全推進課の桂誠一課長補佐は、大阪府の取り組みとして、食品安全情報のポータルサイトの整備やデジタルサイネージを活用した短い動画による情報発信を紹介した。また、「鶏肉は新鮮だから安全」、「ノロウイルスはアルコール消毒で防止できる」などの誤った情報に注意する必要性を強調した。
消費者庁からは、食品表示課長の清水正雄氏、健康食品安全対策専門官の一色聡志氏、消費者安全課企画官の二階堂孝彦氏が参加。リスクコミュニケーションの重要性、消費者ターゲットに応じた情報提供の必要性、郵便物やSNSなどの消費者属性に応じた情報伝達手法への取り組みについて語った。
また、GMPガイドラインの意義と目的について説明する中で、原材料の受け入れから出荷までの製造品質管理体制構築の重要性を示した。
GMP基準適合監視についても言及し、監視員の増員と体制整備を進めるために令和7年度予算で増員を要求していることを報告した。
【田代 宏】