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転売・クレカ不正使用が深刻化 【健康食品・化粧品通販特集】かっこ、セキュリティ対策という守りの施策を呼び掛け

 ますます巧妙化する手口によって、不正注文による転売、クレジットカード不正使用が深刻化している。新規獲得や商品開発を優先するあまり、こうした不正注文対策は後回しになっている通販事業者が多いとも。安心安全なネットショッピングの環境構築に貢献するかっこ㈱。カスターマーサクセスディビジョン、ディビジョンマネジャーの中生(なかしょう)緑氏(=写真)に話を聞いた。(聞き手・文:藤田 勇一)

一向に無くならない転売、不正な行動パターンを検知

――通販事業者を取りまく問題として、クレジットカードの不正使用問題もそうですが、以前から一向に無くならない転売問題があるようですね
中生 そうなんです。この問題は、CtoCビジネスが誕生し身近になるにつれて深刻になり、常に通販事業者を悩ませています。特に健康食品や化粧品通販の場合、販促のため、初回限定価格の設定や限定品の販売を行い本商品購入の動機付けにするという、いわゆるツーステップマーケィングを採用する事業者が多いものですから、その価格差をターゲットに不正購入が行われています。その数はかなり多いというのが現状です。
 基本的には1世帯当たり初回1回のみと設定しているはずなのですが、それでも同一人物が意図的に名前の漢字を変える、住所の表記を変えるなどしてあたかも異なる人物に成りすまして購入するという手口です。

――貴社のサービスはクレジットカードの不正対策に定評がありますが、転売対策にも対応されていることでしょうか。
中生 転売を目的とした場合、1回ではなく複数回購入してきます。先ほどお話したように、住所や名前の表記は微妙に変えていても、ほとんどのケースが同じ端末で何度も購入しています。そのため、使用しているデバイス情報に偏りが出ますので、そういった情報を察知することで未然に防ぐことができるということです。
 転売目的の不正購入は、当然、本商品の購入や定期契約につながることはありませんので、LTVの観点からも大きな損失です。しかし、端末情報まで詳しく見ない限り、通販事業者は単に次の購入が無かっただけと判断してしまうのです。それこそが不正購入者の思うつぼで、微妙に情報を変えることで何度でも購入できるいわゆる「対策があまいサイト」としてマークされてしまうのです。

――貴社の不正購入対策についてご説明ください。
中生 当社では、不正検知サービス「O-PLUX」(オープラックス)を提供しています。「O-PLUX」の審査データで見ますと、例えば、住所は違っているが同じ端末で何度も注文しているという情報を検知します。また、同じ端末で複数のECサイトを横断しているという情報も同時に検知することが可能です。基本的に不正購入者は、1つのサイトだけではなく、複数のサイトを横断的にわたるケースが多いため、こういった情報を複合的にチェックすることが効果的です。自社のサイト訪問は初めてでも、他のサイトで悪い意味で実績があると判定することでリスクを回避することができるという訳です。
 複数のサイトを横断的にわたり購入するということ自体は通常の購入行動であって、不正ではありません。しかし、販売事業者にとっては、転売目的の購入はガイドライン違反としているところが多いですし、不正購入の場合はそれなりの行動パターンがありますので、不正購入の可能性もあるというアラームを出すだけでも効果的ということです。

――通販における購入のパターンというのは、利用者によってさまざまです。それでも不正購入を見つけ出すことができるということでしょうか。
中生 確かに利用者によって、購入のパターンは違います。中には、家族で1つのアカウントを共有し、お米や水、スマホのアクセサリー、ゲームソフト、化粧品、健康食品など複数商品を同じタイミングで購入するというケースもあります。初回限定品が好きで、さまざまなショップの商品を同じタイミングで購入するという人もいるでしょう。「O-PLUX」ではそういった正しいお客様を弾いてしまうことがないように、転売に狙われやすい価格の初回限定品のみを、個人での利用を超えた回数で買い回っている挙動などに対してNG判定します。

――先ほど、住所や名前を微妙に変えて注文すると言われました。名前も住所も違うのになぜモノが届くのでしょうか
中生 手口はいくつかあります。その1つが、商品が出荷された後に配送業者に転送依頼をかけるという手法です。配送依頼をかけ、正規の住所に送らせることで確実に商品を手に入れられますし、配送業者とのやり取りですので、販売者にはそのことは分かりません。
 また、実はコロナ禍で増えた置き配も悪用されるケースがあります。例えば集合住宅などで近隣の部屋を住所に指定し、配達が完了するとそれを取りに行くことで、商品を手に入れることができてしまいます。しかし端末が一緒であれば「O-PLUX」で判定ができます。住所や名前をごまかしたとしても、IPアドレスの一致などで検知できるということです。
 しかし、IPアドレスも違う、端末も違うなど組織的に不正を行うケースもありますので、当社としましては、その精度を上げていくために、色々経験に基づき、仕組みやシステムをブラッシュアップしています。不正購入者は、狙いやすいところを集中的に狙いますので、対策をしていることを相手に知らせるだけでも効果はあると思います。
 ただ、実際のところ不正注文対策をしっかりとやられている事業者だけではないというのが現状です。そういった不正注文の手法に気付かず、単に継続率が悪いというふうに見えてしまい、継続率を上げるために他の施策に一生懸命になっているという可能性もあります。

ますます深刻化するクレジット不正使用問題

――クレジットカードの不正使用対策として、日本通信販売協会(JADMA)などもセキュリティ部会を設置するなど動き始めています。クレジットカード不正使用の特徴について教えてください。
中生 年々、その手口は巧妙化しています。いたちごっこになっている部分はあるのですが、健康食品の単品通販の場合は、「O-PLUX」の不正検知率は100%に近い状況です。その反面、総合通販のようなサイトの場合、多種多様な商品の取り扱いがあるため、そうはいきません。
 なぜかと言いますと、健康食品の単品通販の場合、購入単価が低く不正を行う者からするとその旨味が無いということです。単価が安いため2個・3個とまとめ買いをすれば、それはそれで怪しまれる要因になる。そのため、健康食品の単品通販ではなく、高価な化粧品を取り扱うサイトや複数の商品を展開している総合通販をターゲットにするということです。いかに自然を装うか、疑われないようにするかと考えているということでしょうか。 

――カード情報はどこからかで盗まれ、その情報が闇で取引されていると聞きます。
中生 そうです。 カード情報はダークサイトという裏のサイトで1件1,000円などの値段で取引されているようです。クレジットカードマスターと言って、ランダムな数字を機械的にぶつけて適合したものを抽出したり、フィッシングで盗み出した情報をリスト化しているといいます。
 その情報を購入し、さまざまなサイトで転売できそうな高価な商品を買う。商品が手に入るとすぐに予め決められたところに転送するといった流れです。転送先は日本国内ではなく、海外が多い傾向があり、海外で人気がある日本製品、高価でかつ比較的コンパクトで軽量なものなどがターゲットにされています。そういう意味では、転送先で人気のある化粧品は以前からターゲットにされていますし、最近では比較的高価な健康食品・サプリメントなどもターゲットになっているようです。

――健康食品・サプリメントも狙われるようになったということですか。
中生 クレジットカード不正使用の中で、健康食品・サプリメントは以前はあまりターゲットになっていませんでした。しかし、ここ数年、1万円を超える高価なものは時々狙われているようです。そこにブランド知名度があればなおさらです。
 不正に入手した情報で購入し、商品自体には興味も必要性もありませんから転売して現金化する。こうした商品やお金が海外に流出していると思うと、とにかく悔しくてなりません。

――通販事業者にメッセージをお願いします。
中生 売上を上げるための広告などの施策、商品開発には予算を掛け、どうしてもセキュリティ対策が後回しになる傾向があります。何も事故が起こらないことにこしたことはないのですが、不正注文の手口が年々巧妙化し、いつどのサイトがターゲットになってもおかしくない状況です。また、ひとたび被害にあいますと、売上の減少だけでなく、消費者からの信頼も失いかねません。売上を伸ばす攻めの施策も大切ですが、セキュリティ対策という守りの施策も重視していただけたらと思います。

――ありがとうございました。

COMPANY INFORMATION
所在地:東京都港区元赤坂1-5-31 新井ビル4F(本社)
TEL:03-6447-4534 
URL:https://cacco.co.jp
事業内容:SaaS型アルゴリズム提供事業(不正検知サービス、決済コンサルティングサービス、データサイエンスサービス)

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