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CRNジャパン、GMP主題に勉強会 業界関係者ら約180人参加、通常の倍以上

 製造企業が主に加盟する健康食品業界団体の(一社)日本栄養評議会(CRNジャパン、徳丸浩一郎理事長)が13日午後にオンラインで開いた勉強会に、業界関係者ら約180人が参加した。開会挨拶を行った理事長によると、定期的に開催している勉強会への参加者は通常70~80人。この日の勉強会は、「GMP(製造・品質管理基準)」を主要テーマにして行われた。

 通算115回目となったこの日の勉強会で講師を務めたのは、医薬品GMPの有識者、櫻井信豪・東京理科大学薬学部薬学科教授(医薬品等品質・GMP講座)と、消費者庁食品衛生基準審査課の一色聡志・健康食品安全対策専門官の2人。

 櫻井氏は、「食品の製造で大切なこと~医薬品のGMP製造からの学び~」と題し、安全性や有効性といった「品質」に対する理解を促しながらGMPの意義などを分かりやすく解説。一色氏は、錠剤、カプセル剤など「サプリメント」に関するGMP指針などを盛り込んだ通称「3.11通知」について解説した。

GMPの適切な運用、「品質文化の熟成が必要」

 昨年行われた消費者庁「機能性表示食品を巡る検討会」の第4回に参考人として出席し、アカデミアの立場からGMPを解説したのが櫻井氏。

 この日の勉強会では、巡る検討会よりも長い時間を使い、GMPの基本的な考え方、GMP管理の仕組み、GMPを適切に運用するために大切な要素を解説。通常の食品とは異なり、味覚、触覚、視覚から異常を検知することが通常できないサプリの安全性などについて消費者は「製造者を信じるしかない」。だからサプリにも、原材料の受け入れから最終製品の出荷に至るまでの全工程でGMP管理が必要なのだとした。GMPとはそもそも、消費者に不良品が渡ることを防止することを目的にしているという。

 GMPを適切に運用するために大切な要素については、第1に「法令や通知など、GMPに関するルールを良く知ること」、第2に「科学的視点を持って検証(バリデーション)すること」。そして最後に、消費者ファーストの視点を持って「良品質」の製品を社会に提供していこうとする「スピリット(Spirit)」を挙げ、組織として品質を重視し、そのために透明性が高いオープンな職場環境を作る「Quality Culture(品質文化)」を醸成していく必要性を強く説いた。

 品質文化の醸成に失敗すれば、信頼の喪失につながると警鐘を鳴らす。2021年以降に多発したジェネリック医薬品(後発薬)を中心とする医薬品のGMP違反事例は「品質文化を正しく醸成してこなかった経営陣に重大な責任がある」と指摘した。

 また、製薬企業が加盟する日本製薬工業会が作成したGMP啓発動画を引き合いに出しながら、製造現場に携わる一人ひとりの「慎重な配慮」も強く求められるとした。動画は、同工業会のウェブサイト上で視聴できる

消費者庁専門官、3.11通知のポイント解説

 一方、CRNジャパン勉強会の講師を2年前にも努めた一色氏は、厚生労働省が去年3月11日に発出し、現在は消費者庁食品衛生基準審査課が所管する「錠剤、カプセル剤等食品の原材料に安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針(ガイドライン)」、「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」(2つ合わせて通称3.11通知)のポイントを約1時間にわたって解説した。

 3.11通知のうちGMP指針は、今般の機能性表示食品制度の改正で、サプリの機能性表示食品に義務付けるGMPの基準を定める告示に落とし込まれた。また原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計も、今月末までに公布される機能性表示食品制度に関わる告示に、「機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の原材料に関する自主点検及び製品設計の基準」として反映される。

 一色氏は3.11通知のポイントについて、通知全体の構成そのものがポイントだとし、「原材料安全性の確保と適切な製品設計を行った上で、GMPに基づく製造が行われることが重要であることを示している」とした。また、原材料の安全性に関する自主点検について、点検後も「継続した安全性情報の収集」を行うよう強く求めた。

 3.11通知のGMP指針は、昨年末に一部改正された。藻類を含む「微生物等の培養又は発酵工程を経て生産される原材料」(微生物等関連原材料)を使用するサプリなどの製造・品質管理に関する規定が新たに盛り込まれた。しかし、この日の勉強会で一色氏は、この改正に関しては時間の都合を理由にほとんど触れず。ただ、改正部分以外の通知全体のポイントを分かりやすく丁寧に説明した。櫻井氏の講演も含め、業界関係者からアーカイブ配信の要望が多く出そうな貴重な勉強会だったといえる。

【石川太郎】

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