中部経済産業局、連鎖販売取引を処分 身分を隠した強引な勧誘、深夜に及ぶ迷惑行為
中部経済産業局(愛知県名古屋市)は3日、特定商取引法(特商法)に違反した連鎖販売業者㈱SEED(東京都墨田区、坂本周三社長)に対し、18カ月間の取引等停止命令および指示、代表取締役への業務禁止命令を出した。きのう4日、発表した。
SEEDは化粧品や健康食品「SHINYシリーズ」を販売する連鎖販売取引(マルチ商法)を展開する中で、拒否する消費者に対し「続けていれば必ずリターンがある」、「絶対にやったほうがいい」などと不当な引き止めを行うなどして高額な契約を結ばせていた。
数々の違反行為に及ぶ
その際、会社名・勧誘目的・取扱商品の種類を明示せずに誘導。「社会人サークル」、「ビジネス交流」などと偽り、実際の目的を隠していた(氏名等の明示義務違反、特商法第33条の2)。
また、消費者をボウリング場や貸会議室へ誘い出し、事前説明なしで販売勧誘を実施。LINE通話やメッセージを利用し、来訪を促した後にビジネス説明を開始していた(公衆の出入りする場所以外での勧誘行為、同第34条第4項)。
さらに、「やめたい」と意思表示した消費者に対し、深夜まで長時間にわたり勧誘を継続。「続ければ必ずリターンがある」、「成功したいならやるべき」などと精神的な圧力をかけた。一度断った消費者にも執拗に連絡を取り、契約を迫る行為を繰り返した(迷惑を覚えさせる勧誘行為、同第38条第1項第3号)。
なおこれらの行為は、中部経済産業局および石川県が2024年3月1日に行政処分を行った㈱ARK(アーク)と同様の手法を用いた違反行為だった。SEEDは、ARKの従業員の大半を引き継いでいたことが分かっている。
18カ月間の取引停止処分など
処分の内容は、今年3月4日~来年9月3日までの18カ月間にわたり、連鎖販売取引に関する「勧誘活動の実施・委託」、「連鎖販売取引の契約申込の受付」、「連鎖販売取引の契約締結」の停止。
また業務改善措置として、違反行為の発生原因の調査・分析、再発防止策の策定・実施、コンプライアンス体制の構築と役員・従業員・会員への周知徹底を行わなければならない。
さらに、代表取締役の坂本周三に対しても、業務禁止命令を出した。坂本は上記と同様の期間、新たな連鎖販売取引事業の開始、連鎖販売取引を行う法人の役員への就任などを行うことができない。
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