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GMP全面義務化の前にサプリ法 【特集 日本のサプリGMPを考えるVol.2】最大の課題、曖昧な法的位置付け

 通常の食品とは異なる形状を持ち、過剰摂取の恐れもあるサプリメントの製造・品質管理に関する基準(GMP)が日本に導入されて20年。両手でも収まらない数の死亡事例が報告された国際的にも稀に見るサプリの健康被害問題を、日本の健康食品業界が経験した2024年を終えて迎えた今年は、そんな節目の年に当たる。日本のサプリGMPが抱える課題は何か。今後どのように運用されていくべきか。編集部が行った事業者アンケート結果も見ながら考える。

日本のサプリGMP、今年で満20歳

 医薬品を参考にしたGMPを日本がサプリに対して初めて導入したのは今から20年前、2005年のことだった。

 その前年の04年、厚生労働省が開催した「『健康食品』に係る制度のあり方に関する検討会」の提言を受け、同省が通称「平成17年通知」を作成。同通知を構成するガイドラインの1つ、「錠剤、カプセル剤等食品の適正な製造に係る基本的な考え方」を背景に、業界が主導するかたちで、最終製品や原材料の製造施設等に対するサプリGMP第三者認証の仕組みが立ち上がった。そして、事業者の自主的な取り組みとして、サプリGMPが日本の健康食品業界に広がっていった。

 一方、ここ数年でサプリGMPは、欧米などの諸外国と同じように日本でも、事業者の「任意」ではなく「義務」になりつつある。

 サプリGMPが日本で初めて事業者の義務になったのは5年前の2020年。同年6月施行の改正食品衛生法で制度化された指定成分等含有食品に初めてGMPが義務付けられた。背景には、主に更年期女性を対象にした、女性ホルモン様成分を含むサプリの原材料を巡る健康被害問題があった。 

 そして昨年、やはり原材料に起因すると推定される健康被害問題を背景に、サプリGMP義務化の範囲が大きく広げられた。

 昨年9月、複数の死亡事例が報告されたことで社会問題になった小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題を受け、機能性表示食品のうち「天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品」(以下、サプリ)に対して国がGMPを義務化。健康被害問題で損なわれた機能性表示食品制度に対する信頼を回復させることなどを目的に断行された。来年8月末までの経過措置期間の満了をもって、消費者庁に届け出されている機能性表示食品全体の過半数(24年12月末時点で撤回除き3,700件余)を占めるサプリについて、法令に基づくGMP義務が完全施行されることになる。

 「サプリ横断的なGMP義務化、可能性あるか」。ウェルネスニュースグループが発行する『ウェルネスマンスリーレポート』の去年12月号(第78号)に掲載された、本稿の前提となる特集記事にはそんな見出しが付いた。記事では、サプリGMP義務化の範囲が今後、指定成分等含有食品や機能性表示食品以外にも広げられていく可能性に言及した。

 因果関係ははっきりしないにせよ死亡を含む健康被害問題が現実のものとして起き、サプリの安全性や品質に対する重大な懸念が生じた中で、その可能性を否定することはできない。安全性と品質を確保するためにサプリ全体にGMPの義務を課す──昨年生じたサプリの健康被害問題は、そうした規制強化を行政が行いやすくする土壌を作ったといえる。

サプリGMP義務化、「賛成する」の声多く

 対象範囲が広げられていくサプリGMP義務化の動きを、GMPを実行しなければならないサプリ関連事業者はどう受け止めているのだろうか。

 編集部は、去年11月~12月にかけて、日本のサプリGMPの現状などを把握する目的で、最終製品及び原材料の製造事業者をはじめ原材料の輸入事業者等を対象にしたアンケートを実施。60社から得られた回答を集計したところ、機能性表示食品のサプリに対するGMP義務化に賛成するかどうかを尋ねた設問では、「賛成する」の回答が最も多い結果となった……。

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【石川太郎】

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