食品表示のデジタル活用、取りまとめる 来年度から技術的課題、具体的な議論へ
消費者庁が5日、第3回「食品表示へのデジタルツール活用検討分科会」を開催した。今年度最後となる同分科会では、事業者3社のヒアリングの後、同庁から来年度に向けた議論の取りまとめ案でその方向性が示された。
来年度の議論の方向性を示した案では、技術的課題の3大項目として、①制度運用のメリット・デメリットと求めるべき水準の整理、②表示データの管理方法(一元管理か分散管理か)の検討、③消費者が表示にアクセスするためのツールの検討――が提示された。
今後、制度運用のメリット・デメリットを消費者視点と事業者視点で整理し、後に続く課題の議論の際に議論が振り出しに戻らないように取りまとめる必要がある。また、技術的な課題を議論する上で、制度上求められる水準を現時点で多くの事業者が早期に対応可能な制度とするのか、ある程度データベース等を整備している事業者から始められる制度にするのかの検討も必要となる。
一元管理か分散管理か、管理方法の議論については、一元管理の実現には、行政がデータベース管理費を確保することが難しいなど、データベースの管理者や資金調達などの問題が課題として浮上。サプライチェーン全体として管理することのできるシステムについて、不正防止のための仕組みや監視可能性も踏まえて、一元管理と分散管理のメリット・デメリットを精査する。
消費者が表示にアクセスするための実施方法に関する議論では、制度自体は義務表示の代替とされるものなので、商品と表示との1対1対応を担保する方法を検討する。1対1対応をどのように担保するのか、JANコードやQRコードなど、どのツールを使用するのか――など、これまでに述べた3大項目を解決するための技術的課題に関する議論が必要となる。
技術的課題としては、1対1対応の方法や表示データ範囲の明確化(消費者利益に資する表示として)、国際的な食品表示制度動向、消費者が求める情報へのアクセス方法(専用入口か既存入口の活用か。表示の一覧性など)、デジタル表示における監視可能性に関するルール作り、表示ミスへの対応――などについて具体的な情報について細かい議論が必要とされる。
これら具体的な代替表示に関する議論については、親懇談会となる「食品表示懇談会」においてに報告し、議論を深める、同懇談会の決定方法に従い議論を継続することとなる。
委員からは、消費者視点でのメリット・デメリットについての意見が述べられた。「消費者の日常生活に合わせたデジタル表示の活用が必要」と消費者が利用しやすいアクセス方法の重要性が指摘された。
「具体的なデジタル活用の可能性を検討する場合、構成員に表示を実際に行っている事業者を増やしてほしい」と、事業者の意見を反映することの重要性が提案された。
「食物アレルギーを持っている消費者や日本語が読めない外国人など、特別なニーズを持つマイノリティ」対応も提案された。
さらに、「デジタル化された食品表示情報の法的位置付けについての懸念」が表明された。資料4「取りまとめ案」に関する議事概要を以下に紹介する(つづきは会員専用記事閲覧ページへ、残り約7,400文字)【田代 宏】
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