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フジTV、嘉納会長と港社長が辞任 10時間に及ぶやり直し会見紛糾、記者の怒号も

 元ジャニーズタレントの中居正広氏の性加害問題を発端に、善管注意義務違反の疑いがかけられている㈱フジテレビジョン(東京都港区)は27日、台場にある本社で記者会見を開き、代表取締役会長の嘉納修治氏と同社長の港浩一氏の引責辞任を発表した。次期社長には㈱フジ・メディア・ホールディングス(同)の清水賢治専務取締役が内定した。これは取締役会の提案を受けて同社が承認したもの。きょう28日に正式に就任する。
 フジテレビジョン取締役副会長の遠藤龍之介氏は今回の体制を「暫定的なもの」とし、信頼回復に向けて一定の道筋が付いたら、改めて見直す可能性も示唆した。

 会見に出席したのは、上記4人の他、フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長の金光修氏。

 深夜にまで及んだ27日の記者会見は、予定どおり午後4時に始まったものの、400人を超える記者で埋め尽くされた会場からは、質問を求めて挙手する記者が絶えることなく、日付をまたぎ、途中に休憩を挟むかたちで翌日の2時まで続いた。
 大手新聞・テレビの記者、フリーランス記者などからの質問に対して、問題の核心をそらすフジテレビ側の回答にしびれを切らした会場には怒号も飛び交った。フジテレビ所属の記者からも厳しい質問が出た。同社社員が経営陣への不信感をにじませるという異例の会見となった。

 今回の記者会見は、今月17日に同社が行った紙芝居会見の仕切り直し。記者の所属に関係なく参加を許可し、動画撮影も認めた。ところが、「プライバシー保護や人権尊重を踏まえ、質疑応答については不測の事態に備えて10分間のディレイを設ける」とした。10分の間に、不都合な質疑については局側が編集なり削除を行うということができる。

 大勢の記者の一致した疑問は、「中居正広氏と被害女性の間にどういうトラブルが起きて、どのような経緯をたどってフジテレビを巻き込む事態に至ったのか? 週刊文春の報道にある某プロデューサーが一連の出来事にどのような役割を担ったのか」ということ。その具体的な説明を求めた。
 ところが、プライバシーや人権を理由に、加害問題の核心に踏み込もうとする質問に対しては、「個人が特定されてしまう」、「今回の事案は特殊なケース」などの理由で、司会者(上野陽一広報局長)が水を差す場面が何度もあった。制約をかける司会者に対して、不満を募らせる記者もあり、やがてそのいら立ちが怒号に変わっていった。

 特に、中居氏と被害女性のトラブルについて、同意があったかどうかという両者の認識について、両者に認識の違いがあったとした遠藤副会長だったが、その後、司会者によって発言の訂正が行われた。訂正を認めた遠藤氏に対して記者らが猛反発。長い沈黙の中、フジテレビ側と記者がにらみ合う場面もあった。

 CM広告のACジャパンへの差し替えやTVerなどへの配信広告に対する影響など、甚大な損害が出ている現状について、同社はスポンサーの影響および、減収予想などの詳細な数字の報告に関しては「精査中」として言及を避けた。多くのスポンサーからは、「一刻も早く事件の概要を明かにして信頼回復に努めてほしい」(遠藤氏)と言われているとし、1月分のAC広告への差し替え分については同社の責任として、返金に応じているという。

 また、地方局の広告収入減や仕事がなくなって困っているとされる番組制作会社などの下請け会社をはじめとした立場の弱いビジネスパートナーに関する質問も行われた。
 「売上の補填はするのか?」との質問に清水氏は、「申し訳ないと思っている。契約などそれぞれケースが違うので、個々に対応していく」と述べるにとどめた。
 新入社員からの申し入れや退職者の数についても、遠藤副会長は回答を避けた。内定者に対しては、人事担当者が一人ひとり説明していると、司会者が補足した。

 テレビの果たす役割について、オールドメディアであるTVとSNSの違いが問われた。
 遠藤副会長は、「今回の問題はコンテンツの問題ではなく、放送局のあり方が問われている。テレビとSNSはかなり質が違うが、テレビは今後、新しいファンクションを付けていく必要がある」と答えた。
 清水社長は、「テレビと(SNSなどの)パーソナルメディアには、それぞれに果たす役割がある」と説明した。今後の再建について、「人権を重んじ、信頼回復のために、意思決定の透明性とバランスを図りつつ、再発防止策を地道に進めることが大事」としながらも、具体策について説明することはなかった。

【田代 宏】

(冒頭の写真:会見はフジテレビ本社の10階で行われた、文中の写真:冒頭の挨拶で頭を下げる経営陣)

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