JADMA賀詞交歓会、農水省も挨拶 約400人が参加、梶原会長「自主規制団体の役割、重要になる」
(公社)日本通信販売協会(JADMA、梶原健司会長)は10日、新年賀詞交歓会を都内ホテルで開催、会員企業関係者など約400人が参加した。
JADMA会長に昨年6月就任した㈱千趣会社長の梶原氏は、冒頭挨拶の中で、加速度的に進むAI技術の進化や社会のデジタルシフトなどを引き合いに出し、通販業界の足もとは「変化が大きく課題も多い状況だ」と指摘。その上で、「消費者保護の観点、正会員・賛助会員各社の利益、通販業界の発展につながる観点から、(業界唯一の自主規制団体である)JADMAの役割やリーダーシップが重要になってくる」と語った。
続いて来賓挨拶に登壇したのは、消費者庁から政策立案総括審議官の藤本武士氏、農林水産省から大臣官房新事業・食品産業部食品製造課長の野添剛司氏、経済産業省から商務・サービスグループ消費・流通政策課長の平林孝之氏の3官僚。農水省がJADMAの新年賀詞交歓会で来賓挨拶を行うのは今回が初めて。
挨拶では、JADMAの梶原氏をはじめ消費者庁の藤本氏、農水省の野添氏がそれぞれ健康食品に言及した。
梶原氏は、昨年発生した機能性表示食品のサプリメントの摂取との関連が強く疑われる健康被害問題について、「機能性表示食品業界に大きな影響を及ぼした」と指摘。また、同問題を受けて実施された機能性表示食品制度の改正を踏まえ、JADMAにはサプリを取り扱う「会員企業が多い」とし、「今後も継続的に(改正制度)関連情報の収集、あるいは発信に努めていきたい」と述べた。
消費者庁、PRISMA2020準拠に言及
機能性表示食品制度を所管する消費者庁の藤本氏も、健康被害問題に言及しつつ「制度の信頼性を高めるために引き続き対応している」とし、「本制度が消費者に信頼される制度になるよう、官民連携して協力して進めていきたいと考えている。皆様におかれても積極的に取り組んでいただければと思う」と挨拶した。
藤本氏はまた、機能性表示食品について今年4月からの新規届出に必須となる、システマティックレビューのPRISMA声明2020準拠に言及。届出を済ませた届出についても、「2020準拠により、科学的根拠の再検証を行うように見直しを行っていただきたい」と述べ、機能性表示食品の科学的根拠の質向上に向けた協力を事業者に呼び掛けた。
官民連携の取り組みに「協力していく」
JADMAの新年賀詞交歓会では初の来賓挨拶となった農水省の野添氏は、健康や栄養に対する消費者の関心の高まりを指摘しつつ、「国民が健康的な生活を送れるように支えていくためにも、機能性表示食品を含め、健康や栄養に資する食品産業界が健全に発展していくことが非常に重要」だと語った。
その上で、「健康食品に係る官民連携の取り組みについて、農林水産省も食品産業を担当する省庁として協力をしていく」とし、「業界側においても各団体の強みを生かしながら、一致団結して取り組んでいただくことを期待する」と挨拶した。農水省の新事業・食品産業部は、食に関する新事業の創出や食品産業の振興にかかわる施策の立案などに取り組む。その中で野添氏が課長を務める食品産業課は、国際・輸出関係業務などを担当している。
【石川太郎】
(冒頭の写真:新年賀詞交歓会で冒頭挨拶に立ったJADMA梶原会長/文中の写真:来賓挨拶を行った行政関係者。左から、消費者庁の藤本政策立案統括審議官、農水省の野添食品製造課長、経産省の平林消費・流通政策課長)