1. HOME
  2. 健康食品
  3. 厚労省・消費者庁の自己矛盾を指摘 唐木東大名誉教授が7つの提言、Wedge ONLINEに

厚労省・消費者庁の自己矛盾を指摘 唐木東大名誉教授が7つの提言、Wedge ONLINEに

 ㈱ウェッジ(東京都千代田区)が運営する1月10日付の『Wedge ONLINE』に、東京大学名誉教授・唐木英明氏の寄稿が掲載された。
 「紅麴サプリ問題は終わっていない~健康食品の安全と“正しい利用”へ、私たちがすべき7つの課題」と題する記事には、昨年3月に発覚した小林製薬「紅麹サプリ」事件を受けて浮かび上がった7つの課題について、提言している。

「健康食品」正しい利用のための7つの課題

 第1の課題として、紅麹サプリ事件で死者まで出した健康被害の原因とされる青カビの毒性を再検討し、「健康食品を含む全ての食品の安全を保つための対策」を実施するよう提言している。

 第2の課題は、「全ての企業活動において安全文化の重要性を再認識すること」としている。

 また、「消費者に混乱をもたらすだけで商品の選択の役に立たない分類を、規格基準に立ち戻った検討を行い、整理統合すること」という第3の提言は、“特定保健用食品(トクホ)”“機能性表示食品”“栄養機能食品”“その他のいわゆる健康食品”などと分かりにくい分類表現を行い、一体どこからどこまでがどういう健康食品なのか、そもそも健康食品とは何なのかという点で、消費者に混乱をもたらしている厚生労働省や消費者庁の施策のあり方に釘を刺したかたちだ。

 第4の課題は、サプリGMPの義務化である。GMPによる製造工程管理を全ての健康食品に適用することで、「安全性は大きく改善され、健康食品に対する消費者の信頼回復につながるだろう」と述べている。

 5番目の課題として、トクホや機能性表示食品などの効果判定において義務化されている「プラセボ対照試験法」の見直しを迫っている。
 併せて、「健康食品は効果がない」という誤解を広めている厚労省などのパンフレットについても苦言を呈している。同氏は、「健康食品が効かないという誤解は、試験法を変えることで解消できる」と述べている。

 6番目に、さまざまな誤解を解き、健康食品に対する理解を深めるためには消費者教育が必要だとし、「米国のサプリメント健康教育法を手本として、新たな法律の制定に踏み出すことを提言したい」としている。

 最後に、「業界団体が健康食品の多くの問題の解決に全力で取り組むこと」を提言している。多くの団体が乱立し、「船頭多くして船山に登る」との形容がピッタリの業界の現状に警鐘を鳴らしているものと思われる。

プラセボ対照試験で効果測定を求める矛盾

 記事の中で、唐木氏が国の矛盾を鋭く突いている個所にハッとさせられる。国が無意識にも健康食品の効果に期待しているにもかかわらず、健康食品を治療に使用することを「禁止」するという自家撞着に陥っていることについて指摘している。その部分を以下に引用する。

 「国は健康食品を治療に使うことを『禁止』しているのだ。ところが、実際には、健康食品の利用者の34%、生活習慣病などがある人の46%、70 代の高齢者の64%が処方薬と健康食品を併用している。要するに実際は健康食品が病気の治療に使われている。そして実は国もこれを認めている。
 それは機能性表示食品とトクホの臨床試験として、軽症者を被験者にすることを認めていること、すなわち健康食品の『治療効果』の確認を認めているのだ。被験者が『病人』ではないから『高血圧の人に』とか『糖尿病の人に』などの治療や予防効果を暗示する表示は禁止しているが、『軽症者』だから『血圧が高めの方に』とか『中性脂肪や血糖値が気になる方に』という表示を許可している。これは、国が健康食品を軽症者の治療に使用することを『公式に』認めていることに他ならない」(唐木氏)

 同氏は、そもそも効果がなければ消費者は購入しない。健康食品の利用が「適切な治療を受ける機会を逃がす」というのであれば、自己判断で摂取する一般用医薬品(OTC)も同じ。病人は医療機関で医薬品で治療する。軽症者は薬局でOTCや健康食品を購入してセルフメディケーションに努める。
 このような実態を踏まえた上で、「一部に広がっている『健康食品は効果がない』という誤解は、健康食品の試験法を変えることで解消できると考える」と強く主張している。

【田代 宏】

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ