厚労省、健康被害防止対応要領を改正 「因果関係」→「関連」に統一、「生鮮除く」を削除
厚生労働省は、健康食品等の健康被害防止対応要領を一部改正した。改正したのは、「いわゆる『健康食品』・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領」(旧平成14年通知)で、都道府県等や同省における、健康被害発生の未然防止のための体制整備や被害発生時の対応手順などを示したもの。用語を統一した他、対象に生鮮食品を加えた。一部改正は昨年12月27日付。
通知を所管する同省の健康・生活衛生局食品監視安全課によると、「因果関係」の用語の使用を見直し、「関連」や「関連性」に改め、統一した。例えば、改正前は「因果関係が完全に解明されていなくとも、調査の結果からその可能性が疑われる場合等(以下略)」としていたところ、「関連が完全に解明されていなくとも(以下同じ)」に改めた。
また、もともとは、いわゆる「健康食品」との関連が疑われる健康被害については「一般に因果関係を特定することが容易ではないことから(以下略)」としていたところ、「一般に関連性を特定することが容易ではないことから(以下略)」に修正した。
これまでの通知では、「因果関係」と「関連」が混在していたという。
同省の厚生科学審議会食品衛生監視部会に設置の「機能性表示食品等の健康被害情報への対応に関する小委員」及び「紅麹関連製品に係る事案の健康被害情報への対応に関するワーキンググループ」でも、都道府県等から同省に上げられた健康被害疑い情報について、都道府県等が聴き取った情報を基に、食品との因果関係ではなく「関連性」を総合的に評価した上で、食品衛生法上の措置の要否を検討することにしている。
一方、同通知の対象食品に生鮮食品を加えたことについては、改正前の通知にあった「生鮮食品を除く」の文言を削除。昨年、健康被害疑い情報の提供、報告が義務化された機能性表示食品には生鮮食品もある。厚労省はQ&Aで、生鮮食品も情報提供義務の対象になるとする考え方を示しており、それに合わせて同通知を改正した格好。それに伴い、同通知の第2、「対象食品」の書きぶりは次のとおりになった。
「本要領における対象食品を、いわゆる『健康食品』(医薬品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品)とする。なお、保健機能食品(特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品)に関しても、本要領の対象食品となる」
なお、同通知には、健康食品関連事業者も使用できる「健康食品の摂取に伴う健康被害情報提供票」が備え付けられている。こちらについて内容の改正はなかった。
【石川太郎】
関連資料:いわゆる「健康食品」・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領(厚労省ウェブサイトへ)
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