楽しく便利な通販を目指す 【年頭所感】(公社)日本通信販売協会(JADMA) 梶原健司会長
あけましておめでとうございます。
通信販売市場は、昨年で13兆5,600億円の売上高規模となり、前年度ほどの伸び率ではないものの、25年連続して伸びをみせ、ますます生活に欠かせないものとして大きな役割を担っております。
そんな中で、昨年3月に大きく取り沙汰されたサプリメントによる健康被害報道では、機能性表示食品業界に大きな影響を及ぼし、9月には健康被害情報提供の義務化、GMPの要件化、パッケージの表示方法の見直し等が新たに盛り込まれました。健康食品を取り扱う会員社も多いJADMAでは、サプリメント部会を中心に10月4日に機能性表示食品制度の見直しのポイントと対応策をテーマにセミナーを開催し、会員内外より約300人の参加がありました。今後も継続的に、関連情報の収集・発信に努めていきます。
また、2024年・2030年物流問題に関して、JADMA物流委員会では3月に「通販業界における物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画」を作成、8月に改訂しました。JADMAでは、「共同配送」実現に向けても検討を進めています。
ECにおけるセキュリティ問題も、各社が対応を迫られている状況であると認識しています。6月の総会ではWeb・情報セキュリティ専門部会の設立が承認され、昨年はセキュリティをテーマとするセミナーを7本開催いたしました。
また、消費者啓蒙活動およびジャドママークの普及活動の1つとして、毎年、教員および消費生活相談員向けにオンライン講座を開催しています。中学校や高校の教科書に「通販で買い物をする際の安心の目安」としてジャドママークの掲載が増えています。そこで、改正が多く種類も多い通販の関連法令や、最新のトラブル情報などを分かりやすく、コンパクトにまとめ、教員や相談員を通じ、正しい知識が消費者に伝わるよう心掛けた講座を実施いたしました。昨年は、アーカイブ配信も含めて約500人の視聴がありました。
JADMAの活動で力を入れていることの1つに、委員会活動があります。設立当初から活動している消費者委員会は、昨年開催100回を迎え、記念講演会・懇親パーティーを行いました。会社は違っても、担当業務が同じ会員企業同士が業務上の悩みなどを相談しあえる場は貴重だと感じております。今年3月末のEMV 3-Dセキュアの義務化を控えた現在の各社の状況や、先に挙げた物流問題など、実際の現場の対応についての情報交換を行っています。
今、通販業界は、アフターコロナを経て、堅調に伸びています。今後も通販が担う社会的重要性、社会的責務はますます強くなっていくことが予想されます。その中で予想される特定商取引法の改正や個人情報保護法改正に向けての動きも協会として注視していきたいと思っております。
また、今後、生成AIやチャットGPTなど益々のIT技術の進化や、デジタルシフトが加速的に進むと思われます。あらゆる面での効率化や利便性が高まり、通販のあり方も、それにともない大きく変化し、また進化していく事が予測されます。
このような変化が激しい世の中の流れの中で、会員企業様と情報を共有しながら進化し、且つ、いつの時代でも通販業界としての原点である、誰もが安心して利用できる「安全で健全な通販」を確立してゆく事が重要ではないかと捉えています。
その上で、JADMAのコンセプトである「楽しく、便利な通販」、「世の中をもっと楽しくする通販」をいつも目指してまいります。