会員企業に寄り添い業界発展を目指す 【年頭所感】(公財)日本健康・栄養食品協会 矢島鉄也理事長
新しい年を迎え、謹んでお祝い申し上げます。また、日頃より、当協会事業へのご理解、ご支援に対し御礼申し上げます。
昨年、健康食品業界は、紅麴関連製品事案により大きな影響を受けましたが、当協会は消費者庁主催の検討会で、問題点の指摘や現状と課題の報告とともに、いくつかの提言を述べさせていただきました。機能性表示食品制度の改正がスタートした9月以降は、健康食品業界の信頼回復と発展に向けた協会の取り組み、今後の方針等について、会員企業向けメールマガジン・ホームページ・セミナー等で発信してまいりました。
制度改正に沿った会員企業への支援、保健機能食品制度の見直しと提言等、本年も会員企業に寄り添いながら、消費者庁や関連団体との連携強化を推進し、業界発展を目指していきたいと考えています。
個別の事業に目を向けますと、昨年は新通知「311通知」の発出、紅麹関連製品事案、機能性表示食品の錠剤、カプセル剤等食品のGMP要件化など製品品質に関わる様々な出来事があり、いわゆる健康食品の安全性や製品品質に対する重要性が一層高まっています。これらの状況を受け、品質確保の観点からの新しい認証制度の検討を進め、健康食品の品質確保についての取り組みを一層強化していきます。
機能性表示食品分野は、紅麹関連製品事案を受けて、「ガイドライン行政」から「法令による行政」に変わり、GMPや新表示への対応は、2年の猶予期間があるものの、健康被害情報については、速やかな提供が義務付けられました。当協会としては、引き続き「研究レビューのPRISMA2020対応」、「届出資料の事前点検」、「届出・広告相談」等の届出支援事業を行ってまいります。また、制度改正を受けた「届出資料作成の手引書」の改定や「届出のオンデマンドセミナー」も準備してまいります。
特定保健用食品の分野では、疾病リスク低減表示の許可拡大を目指し、EU方式の2段階表示のための申請要件の明確化や規格基準型で運用されているカルシウムと葉酸以外の追加可能な成分について検討を進めてまいります。また、特定健診後の保健指導にトクホを活用するために作成した教材を管理栄養士に紹介する活動や、トクホの理解と利用拡大のための講演を大学や栄養士養成機関・自治体の保健関連事業等に提案を行い、普及拡大を図ってまいります。
特別用途食品については、制度運用改善を求める業界意見をまとめた要望書の提出等の結果、2023年5月通知改正により実現しております。現在、シリーズ商品一括申請、消費者庁主導による許可基準型・経口補水液の導入等で許可商品数は135品となり、ここ約1年間で28品の増加となりました。本年は特別用途食品(病者用・えん下困難者用)広告自主基準の策定や消費者向けリーフレット作成を推進してまいります。
新規領域創生を目指している「フレイル予防」については、(一財)医療経済研究・社会保険福祉協会が事務局を務める「フレイル予防推進会議」の活動に対して、食品表示等の専門家として協力してまいります。
このような事業に加え、健康食品等に関する国内外の有用情報の発信や、フリーアクセスのオンラインジャーナル「健康・栄養食品研究」について、投稿数の増加に繋がる活動を引き続き行ってまいります。
昨年のトップセミナーでは、行政動向や健康維持・増進についての講演・意見交換を行い、充実した内容となりました。本年も、会員企業の皆様の要望を重視した社員研修やスキルアップのための各種セミナー、講演等を企画しておりますのでご期待ください。
当協会は、今後も会員企業の皆様が望まれる行政や消費者とのパイプ役としての機能を高め、積極的な事業展開を図ってまいる所存ですので、関係各位の変わらぬご支援ご協力をお願い申し上げます。