1. HOME
  2. 健康食品
  3. WNGが選ぶ健食業界10大ニュース トップに小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題

WNGが選ぶ健食業界10大ニュース トップに小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題

 師走。最大震度7の大きな揺れを観測した能登半島地震に始まった2024年が終わる。ニュースサイト「ウェルネスデイリーニュース」を通じてヘルスケアに関わる社会、行政、企業の動きや話題などを日々報じてきたウェルネスニュースグループ(WNG)の編集部はこのほど、今年の「健康食品業界10大ニュース」を独自に選定し、トップニュースには、小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題を選んだ。

次点に機能性表示食品制度の「大改正」

 3月22日夕、米紅麹ポリケチド、実質的にはモナコリンKを機能性関与成分として配合した機能性表示食品のサプリ『コレステヘルプ』を摂取した複数の消費者に、腎機能障害を中心とする健康被害が生じていることを小林製薬が公表。その後、死亡事例が相次いで報告され、日本の食品安全の歴史に残る事件に発展した。機能性表示食品をはじめサプリ・健康食品に対する消費者からの信頼・信用の低下も招き、関係する業界や市場に大きな打撃を与えた。

 1事業者が起こしたこの問題は、9月、機能性表示食品制度の「大改正」につながった。制度の法的基盤が見直され、ガイドライン(通知)を主体とした制度運用から、法的拘束力を持つ法令に基づく運用へと大転換が図られた。さらに、問題への対応に当たった政府は、機能性表示食品か否かを問わず、サプリ横断的な規制の在り方を見直す方針を示した。来年以降、食品衛生行政を所管する消費者庁と厚生労働省の動きから目が離せない状況が続くことになる。

 機能性表示食品制度の改正では、健康被害疑い情報の行政機関への速やかな報告が義務化された。また、サプリ限定でGMPに基づく製品・品質管理が実質義務化され、経過措置期間を経て26年9月から完全実施される。食品に対するGMPの義務付けは、先の改正食品衛生法で制度化された指定成分等含有食品に続く事例。機能性関与成分を含む原材料に対するGMP義務化は見送られたものの、将来的に義務化する可能性を消費者庁担当課は否定していない。

 また、機能性表示食品のサプリGMP義務化にも絡む格好で、食品衛生法に紐づけられた「3.11通知」の存在感が大きく高まった。法令(内閣府告示)で定められた機能性表示食品のサプリGMP基準は、同通知の別添2「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」の内容を条文に整え、告示化したもの。同通知の別添1「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針(ガイドライン)」も、来年4月1日施行予定の改正制度関係法令(内閣府告示)に落とし込まれることになる。

 この3.11通知は、年内にも改正される。健康被害問題をきっかけに、菌体や藻類など微生物の培養や発酵工程を経て生産される原材料に関する新指針が新たに盛り込まれることになった。機能性表示食品等の保健機能食品から「その他のいわゆる健康食品」まで、サプリの安全性や品質の確保に向けて行政は、同通知への準拠を関係事業者に強く求めていくことになりそうだ。

忘れてならない、ノコギリヤシ広告差止請求訴訟判決

 24年は、健康食品業界にとっても激動の1年となった。その幕開けとなったのは、前年の大晦日にひっそりと公表されていた、民間企業らが運用する「ナチュラルメディシン・データベース」(NMDB)の会員規約改訂に端を発した混乱だった。国立健康・栄養研究所が運用する健康食品の安全性・有効性情報データベースの一時閉鎖問題(安全性に関しては現在も閉鎖)の直接の原因にもなった「著作権」を巡るこの問題は、多くの機能性表示食品の届出が撤回されていく呼び水となり、健康食品業界に大きな影響を与えた。その渦中で健康被害問題が発生することになる。

 また、立て続けに起こる混乱の影に隠れたかたちとなったが、20年2月から続けられてきたノコギリヤシ健康食品の広告表示差止請求訴訟が11月、被告となった健康食品通販会社の勝訴で決着。最高裁判所が原告である適格消費者団体の上告を認めず、原告の主張を全面的に退けた一審判決を支持する高裁判決が確定した。「(健康食品の広告表示をめぐる)判例が作られたという意味でインパクトが大きい。今後、類似案件がどのように裁かれるのかも含め、改めて検証が必要だと思う」。編集部内からはそんな意見が上がった。

 このほか、機能性表示食品の科学的根拠と広告内容のかい離を問題視した「染小論文」を10大ニュースに推す声も強かった。「有意差完全保証プラン」がきっかけだったと筆頭著者が語るこの研究及び論文をめぐっては、「スピンの定義があいまいだ」と疑問視する意見があった一方で、「臨床試験と、その試験結果に基づく広告表示のかい離を指摘した初の論文として評価できる」といった声も上がった。

 また、健康食品では大手企業が販売するNMNサプリを巡る表示が違反対象とされた「ステマ規制」も10大ニュースに推された。編集部内の意見。「SNSは、国内外における選挙の在り方まで変えつつあり、(ステマは)業界に限った問題ではない。SNSを社会の進歩のために有効活用する道が問われている」

 WNG編集部が選定した健康食品業界10大ニュースは以下のとおり。

小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題
② 機能性表示食品制度の大改正 サプリメントの在り方も問われる
③ ナチュラルメディシン・データベース会員規約めぐり業界混乱
④ 機能性表示食品のサプリ、GMPが義務に
⑤ 染小論文、臨床試験結果と広告内容のスピンを指摘
⑥ 食品衛生基準行政、厚労省から消費者庁へ移管
⑦ 3.11通知、機能性表示食品制度改正に絡み法令化
⑧ ステルスマーケティング規制、相次いだ行政処分
⑨ ノコギリヤシ広告差止請求訴訟、提訴された通販企業が勝訴
➉ キリンホールディングス、ファンケルを完全子会社へ

【編集部】

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ