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機能性表示食品の限界と可能性(1) 【寄稿】これからのFFC、プロモーションからプロダクトへ

㈱グローバルニュートリショングループ 代表取締役 武田 猛

今年3月に発覚した紅麹サプリ事件をきっかけに、機能性表示食品制度の大改正が行われた。同制度については昨年から、初となる届出表示に対する措置命令、国立栄研やNMDBの安全性データベース使用を巡る事案など問題が相次いでいた。それに伴い、届出の撤回も後を絶たない状況に至っている。施行以来、市場拡大を続けてきた機能性表示食品だが、今後どうなるのか?国内外のサプリメント事情に詳しい㈱グローバルニュートリショングループの武田猛氏が同食品の限界と可能性について、4回にわたり解説する。

機能性表示食品が置かれた現状

 機能性表示食品(FFC)の市場規模は、食品市場の何割程度を占めるのだろうか? そのような疑問から、この分析を始めてみた。

 日本の加工食品(アルコール飲料を除く)の市場規模は約20兆円と言われている。そして、GNGでは、厚生労働省の定義する「いわゆる健康食品(保健機能食品を含む)」は、約4兆円と推計しており、食品市場の約20%となる(いずれも2023年)。その内訳は、サプリメント形状の加工食品(以下「サプリメント」)1兆1,158億円、その他加工食品(以下「機能性食品」(食品・飲料形状))2兆8,969億円と推計される。
 さらに機能性表示食品の市場規模は、サプリメントと機能性食品を合わせて8,021億円と推計され、健康食品の約20%を占めている(対前年13.8%の成長)。
 機能性表示食品の内、サプリメントの市場規模は2,269億円で対前年2.0%の増加、機能性食品の市場規模は5,752億円で対前年19.1%の増加となっている。機能性表示食品全体では2ケタ成長しているが、実態は、サプリメントは微増であり、機能性食品がその成長を牽引している(図1、図2)。これは、近年、主に米国で進んでいる「サプリメントの非ピル化」という現象の影響を受けているのかもしれない。

 機能性表示食品の市場規模は、食品全体の4%に過ぎない。これが大きいのか小さいのか、米国と比較してみたい。

米国加工食品の市場規模8,768億、サプリメント600億ドル

 米国農務省(USDA)の「Food Expenditure Series」のデータによると、2020年の米国加工食品の市場規模は約8,768億ドルである。一方、Nutrition Business Journalの調査によると、ダイエタリーサプリメントの市場規模は約600億ドルである。
 米国の場合、機能性表示をしていなくてもサプリメント形状の加工食品は全てダイエタリーサプリメントとして分類されることを考えると、日本のサプリメント市場の存在感は米国ほどではないにせよ、高いレベルにあると考えられる。

ヘルスベネフィット、届出件数とニーズは不一致

 それでは、機能性表示食品の浸透の状況を、ヘルスベネフィット別に分析をしてみた結果をご紹介する。
 届出件数の多いヘルスベネフィットのトップ10は、次の通りである(2024年11月27日現在、GNG調べ、注:届出件数と分類方法は若干異なる(金額はGNGによる推計値))。

① 体脂肪、内臓脂肪、皮下脂肪減少       1,103件
② 食後血糖値の上昇抑制             870件
③ 血圧低下                   638件
④ 整腸                     620件
⑤ 肌の健康                   587件
⑥ 疲労感軽減                  500件
⑦ 睡眠サポート                 500件
⑧ メンタルヘルス                480件
⑨ 脂肪吸収抑制                 477件
⑩ 血中中性脂肪の低減               381件

 一方、機能性表示食品における市場規模トップ10のヘルスベネフィットは、以下のとおりである(サプリメント+機能性食品)。

① 脂肪・コレステロール値対策      2,097億円
② 睡眠サポート             1,321億円
③ 整腸                  854億円
④ 関節、筋肉サポート           706億円
⑤ 免疫サポート              570億円
⑥ 健胃サポート              461億円
⑦ 血圧低下                353億円
⑧ 美肌・肌ケア              336億円
⑨ 減量                  312億円
⑩ 目の健康                284億円

 届出件数が多いヘルスベネフィットの市場規模が、必ずしも大きくないことが分かる。
 次に、商品形態別にみてみたい。

(つづく)

<筆者プロフィール>
麻布大学環境保健学部卒業、法政大学大学院経営学専攻修士課程修了。
アピ㈱、サニーヘルス㈱を経て2004年1月、㈱グローバルニュートリショングループ設立、現在に至る。国内企業の新規事業の立ち上げ、新商品開発、マーケティング戦略立案などのコンサルティングや海外市場進出の支援、海外企業の日本市場参入の支援を行う。現在まで、国内外合わせて800以上のプロジェクトを実施。
経 歴:1986年 麻布大学 環境保健学部卒業、1986年 アピ株式会社入社、1997年 法政大学大学院 社会科学研究科経営学専攻修士課程修了(MBA)、1998年 サニーヘルス株式会社入社、2004年 (株)グローバルニュートリショングループ設立後、現在に至る。
著 書:「健康食品ビジネス大全」(パブラボ社、2011年10月)、「健康食品ビジネス大事典」(パブラボ社、2015年8月)、共著「ヒットを育てる!食品の機能性マーケティング」(日経BP社、2017年4月10日)
活 動:平成26年度「栄養表示義務化及び食品の新たな機能性表示創設に伴う消費者教育の在り方に関する検討事業」 ワーキンググループ委員(消費者庁委託事業)、平成28年度「第6次産業化促進技術対策事業」検討委員会委員長(農林水産省委補助事業)、平成29年度「食産業における機能性農産物活用促進事業」検討委員会委員長(同上)、平成30年度「食産業における機能性農産物活用促進事業」検討委員会委員長(同上)、2018年 機能性表示食品届出指導員養成講座 講師、2019年~21年 機能性表示食品普及推進協議会 会長、一般社団法人ウェルネス総合研究所 理事、一般社団法人通販エキスパート協会 認定スペシャリスト、機能性表示食品届出アドバイザー養成講座 認定講師
僭越ながら、海外に通用する機能性表示食品について考える「FFC2.0研究会」を㈲健康栄養評価センター・柿野賢一氏、㈱サルタ・プレス・西沢邦浩氏と共に立ち上げ、継続して勉強会を開催している。読者の皆さんにも是非ご参加いただければ幸甚である。

関連記事:機能性表示食品の限界と可能性(2)

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