第6回取引DPF協議会、議事録公開 法改正のポイント、トラブルの事例分析など紹介
消費者庁は18日、「第6回取引デジタルプラットフォーム官民協議会」の議事録を公開した。
同協議会ではこれまで、消費者教育や啓発についての議論が続けられ、多様な事業者、消費者団体、行政庁が参加し、デジタルプラットフォームを利用した取引における消費者の課題と対策について検討を進めてきた。
今回、「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律」のポイント、消費者トラブルの事例分析が取り上げられた。また、デジタル取引の透明性や安全性を高める方策が提案され、現代のデジタル社会に適した法規制の整備についても報告が行われた。
法第4条の適用事例も紹介
事務局(消費者庁)は冒頭、取引デジタルプラットフォーム(取引DPF)に関連する申出のプロセスとその動向について説明した。消費者保護に関して消費者庁がどのように対応しているか、また法改正や具体的な事件への対応がどのように行われているかを明らかにした。
取引DPFを利用する消費者が利益を害される可能性がある場合、消費者は法律に基づいて消費者庁に申し出ることが可能だが、申出件数は、一般的には毎月30~50件、2022年度231件、23年度179件、24年度409件と、申出件数はやや増加傾向にある。内容としては、物販系81件、役務提供系21件、直販サイト303件など。
PIO-NETの相談件数は毎月約2,000~3,000件、これには通信販売関連の相談が多く含まれているという。
情報商材に関する課題を挙げた。ある情報商材が提供されている内容と異なるため、法的な要件に違反しているとして、同庁が取引DPF提供者に対して広告内容の削除を要請した。
具体的には、ドバイ在住と称する販売者がウェブ上にアカウントを作って販売しているが、実際に連絡を試みましたところ連絡が取れない。「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」第4条の規定に基づき、この情報商材を販売する取引デジタルプラットフォーム提供者に対して商品の表示の削除要請を実施した。この他にも2つの例を紹介している。
DPF取引におけるトラブル・ケース
(公社)全国消費生活相談員協会は、消費者啓発の必要性、配送や返金・返品手続きの課題について報告し、その事例を紹介した。
ある消費者が送料の表示が不明確であるため、実際の請求が商品価格よりも高かったという事例が紹介された(送料表示の不明確さ)。
また、置き配の際、誤って配達された商品に関して問い合わせ先が明確でないために対応が困難だった(置き配の問題)、商品が発送されたとの通知があったにも関わらず実際には商品が届かなかった(発送の誤情報)、返品手続きが複雑で返品に高額な手数料がかかった(返品・返金の困難さ)などが紹介された。
これらの報告により、取引DPFを通じた消費者取引における問題点が明らかとなり、消費者保護強化の必要性が浮き彫りとなった。特に事業者に対しては、消費者との取引においてより透明性と責任をもって対応することが求められていることが分かった。
海外事業者への規制強化
最後に、経済産業省が最近の法改正と製品安全法の対応について報告した。
今年6月26日に公布した「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律」では、海外事業者が直接日本に製品を販売する場合、責任者(国内管理人)の選任が求められるようになる。
また、 インターネットモールなどの取引DPFを通じて安全でない製品が販売されている場合、プラットフォーム運営者は製品の出品削除や公表などの措置を取ることが求められる。
さらに、法律に違反する行為を行った者の氏名などについて公開する制度を創設するなどの法改正を行った。
この他、子供用製品の規制に関する説明も行われた。
第7回取引DPF協議会は来春開催の予定。
【田代 宏】
公表資料はこちら(消費者庁HPより)