探訪、スーパーオリエント39(3) 半世紀近く続ける分析試験、「伝統よりも品質」
今から約50年前、1970年代後半の発売開始以来、変わらぬ製法で作られ続けている植物発酵エキス。だが、「伝統」はほとんど訴求されていない。
というのも、その製造に使うのは樽や甕ではなく、HACCPやISO22000に基づく衛生管理体制を敷く現代的な工場に設置された大型の培養・発酵タンクであるためだ。
「伝統をアピールできるストーリー性がないわけではない。開発経緯や開発者の人となりはとても興味深く感じてもらえると思う。でも、オートメーション化された工場で製造していると言うと、ストーリー性をほとんど感じてもらえない」
この連載で取り上げている植物発酵エキス「スーパーオリエント39」の原材料販売を手がけるインターナショナルフーズ㈱(東京都多摩市)の代表者はそう話す。
製造しているのは海外の酵母メーカーだと聞けば、なおさらストーリー性とは縁遠く感じるだろう。だが、同代表は語る。伝統よりも品質とその証拠──それをずっと大切にしてきたという。
「日本食品分析センターが(東京都渋谷区)代々木にできてすぐの頃から分析に出していた。今では当たり前だろうけど、当時は珍しかったと思う。アミラーゼ力価まで分析していた」
分析結果をまとめたファイルの保管は1984年実施分から続けている。「時代、時代に合わせながら、製造元と相談しながら規格を見直し、整え、日本に受け入れた後の品質管理もずっとやってきた。そこは自信を持って言える」
現在は、輸入するロット毎に、日本食品分析センターに分析を委託。主な分析項目は、酵母菌数、大腸菌群など一般生菌数、ヒ素及び重金属。それに加え、数年に一回、製造元に対して抜き打ちで、ビタミンやミネラルなどの栄養成分含量等の分析を行い、過去のロットにはない異常値を示さないかどうか監視する。2005年にポジティブリスト制度が施行されてからは、農薬の分析も定期的に行うようになった。
また、分析結果は、要望があれば顧客らに対して全面的に開示する。「別に隠すものではないと思うし、証拠は多ければ多いほど納得してもらえる」のが理由だ。
「40年以上もの長い間、販売を続けることができているのも、品質に目を向けてきたからだと思っている。私たちに自慢出来ることがあるとそれば、そこ」
分析に関しては、品質に関わるところだけではなく、顧客の要望に応じた分析も行ってきた。例えば、含有する機能性成分に関する分析だ。
「スーパーオリエント39」には、食物繊維が比較的多く含まれる。あくまでも「参考値」だが、含有量は100g当たり約28g(ちなみに、タンパク質も多く含まれることはこの連載で触れてきたが、具体的には、同じく参考値として100g当たり約45gと全体の半分近くを占める)。
一方、食物繊維にも種類がある。では、どのような食物繊維が含まれているのか。外部分析機関に委託して分析したところ、水溶性食物繊維のβ-グルカンが一定量含まれることが分かった。
多種多様な植物等を原料として使う製品特性上、バラつきの生じる可能性が高いこともあって、製品規格にβ-グルカンの含有量を盛り込んでいるわけではないが、他にも複数の成分、あるいは活性などについて分析、評価してきた。
そういった分析にかける費用の年間総額はどれほどになるのだろうか。なにせ輸入する毎に分析している。そのうえで、同社はおよそ10年前から、分析以外にも少なくないコストを投じるようになった。有効性を検証するための臨床試験である。
(つづく)
【石川太郎】
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