消費者安全法に基づき実名公表 エステサロンで不当に勧誘する事業者に注意!
消費者庁は24日、エステサロンにおける不正な勧誘に関する注意喚起を行った。また同庁は、消費者安全法第38条1項の規定に基づき、20代の女性をターゲットに不実告知行為を繰り返している㈱ライフパートナーズ(東京都港区、内田勉代表)と㈱NEOマーケティング(東京都渋谷区、奥村健太代表)の実名を公表し、消費者被害の拡大防止を図った。
上記2社は、無料のエステ体験を通じて、SNSへの広告投稿で報酬を得られるかのような副業を勧め、実際には報酬は支払わず、高額な加盟金の支払いを強いていたものとされる。
具体的には、女性らがエステサロンを訪れると、月に1回SNSに広告を投稿することで毎月1万円の報酬が得られるという副業が提示される。これに興味を示すと、次の来店時に以下の説明を受ける。
月1回、SNS なら何でもいいので、(消費者の)LINE に届く広告を載せてもらえば、それだけで1万円がもらえる。SNS に載せるには、PR エージェント加盟金が必要になる。報酬として、銀行口座に毎月4万7,000円が入金されるが、PR エージェント加盟金として毎月3万7,000円が差し引かれる。その差額の1万円が広告投稿に対する報酬となる。
そして勧誘に応じた消費者に対し、ライフパートナーズに対してPR エージェント加盟金を支払うことなどを内容とする「加盟店契約書」と、NEO マーケティングから報酬を受け取ることなどを内容とする「業務委託契約書」が示され、契約が締結される。さらに、150 万円と高額のPR エージェント加盟金を分割して支払うためとして、クレジット会社に対して5年間で総額222万円を支払うこととなる「クレジット申込書」の記入が求められる。
こうして女性らは、高額なPRエージェント加盟金を支払い、加盟店契約と業務委託契約を締結することになるが、約束された報酬は支払われず、高額な加盟金の負担のみが残ることとなる。
消費者庁はこのような不正な勧誘に対して、無料体験やお試し施術を利用した際の注意を呼び掛けている。また、高額な支払いを伴う長期のクレジット契約に対しても警戒を促しており、被害に遭った場合は消費生活センターや消費者ホットライン「188」に相談することを勧めている。
※消費者安全法第38条(消費者への注意喚起等)
内閣総理大臣は、第十二条第一項若しくは第二項又は第二十九条第一項若しくは第二項の規定による通知を受けた場合その他消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、当該消費者事故等による被害の拡大又は当該消費者事故等と同種若しくは類似の消費者事故等の発生(以下「消費者被害の発生又は拡大」という。)の防止を図るため消費者の注意を喚起する必要があると認めるときは、当該消費者事故等の態様、当該消費者事故等による被害の状況その他の消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を都道府県及び市町村に提供するとともに、これを公表するものとする。
【谷山 勝利】