熊本市保健所が高級洋菓子店に立入検査 マスコミが「賞味期限改ざん?」と報道
㈱シェ・タニ(熊本市東区、谷誠志社長)は15日、同社のホームページ上に「マスコミ各所の報道について」とする謝罪告知を掲載した。同社は、熊本市内に4店舗、大分・千葉県内に2店舗を展開している高級洋菓子の製造販売会社。
告知には、同社が販売するアーモンドにチョコをかけた商品『アマンドショコラ』について、期限表示を偽って販売していたという報道に対する謝罪とその経緯に関する釈明が述べられている。
一部マスコミによれば、シェ・タニは、『アマンドショコラ』が売れ残ると、賞味期限が記されたシールをはがし、期限を数カ月延ばした新たなシールに貼り替えるなどの手口が常態化していたと報じている。
また、シュークリームやケーキにおいても、賞味期限が切れたクリームを再利用していたなどとする公益通報が熊本市保健所に対して行われ、現在、同保健所が調査中という。
これらの報道は、15日午後放送のTBSテレビ「Nスタ」でも取り上げられた。Nスタによれば、昨年4月、『アマンドショコラ』の原材料シールを「5月31日までのものは7月31日に貼り替えて販売してください」と指示する業務用ラインのやり取りが残されているという。
また先月、元従業員が保健所に申し立てを行い、保健所が3回に及ぶ立ち入り検査を実施。今月に入ってから元従業員が新聞社などに情報提供を行った結果、今回の騒動に至ったと報じている。
取材によれば、同社は上記事実をおおむね認めている。
同社によると、保健所から最初の抜き打ち検査が行われたのが9月18日のこと。その他にも2日、合計3日間にわたり全従業員からの聞き取りが実施されたと話している。
公益通報を行ったのは元従業員だとし、現在、当人を特定していないし、今後も特定するつもりはないとしている。
報道後、多数のメディアからの事実確認や消費者からの叱責の電話が殺到。仕事ができる状態でもなく、「お客さんを巻き込むのもよくない」との判断から、シェ・タニ「流団店」(熊本市南区)、同「江津店」(同東区)、同「健軍店」(東区)の3店舗を急きょ臨時休業とした。同店舗はきょう16日まで休業する。
問題となった賞味期限について同社は、『アマンドショコラ』は季節商品のため「バレンタインデーに向けて『行くぞ』という思いが強すぎた」と話している。元々、賞味期限は1年間を担保していたものの、バレンタイン商戦に向けて意気込むあまりに成果主義を優先。その結果、最初に印字した2月28日の賞味期限までに売り切ろうとしていた商品の売れ残り分について、5月の賞味期限に貼り替えた。そしてまた7月と、さらに賞味期限を伸ばしていった。
同社はこのことに対して取引先からの指摘も受け、「貼り替える行為自体が誤解を生む行為で間違いだった」と反省。当然、今後はこういう行為を改め、「一切このようなことがないようにとのお約束の意味で、現時点における当社の調査を踏まえ、本日の(謝罪告知の)公表となった」と述べている。
シュークリームの消費期限は2日間。これについて同社は、「大量に残った場合に限り、食感が悪くなるために翌日からは皮を変えて販売していた。消費期限が過ぎた3日目以降は廃棄していた」と説明している。
処分の有無などについて、同社は保健所からの指示を待つ状態にある。15日夕現在、「今のところ保健所からの連絡はない」という。
いかなる処分が下るのか?それともお咎めなしか? 一部マスコミの記事には、消費者庁への取材を通して、「今回の改ざんは、食品表示法に触れる可能性がある」としているものがある。その根拠は何か? 消費者庁が出している平成27年3月「食品表示基準Q&A」には次のような記載がある。(⇒つづきは会員ページへ)
【田代 宏】
(冒頭の写真:TBSテレビ「Nスタ」より)