21年度市場規模、約3278億円に
機能性表示食品 矢野経済が見込む 「伸び率が鈍化」
市場調査会社の㈱矢野経済研究所(東京都中野区、水越孝社長)の調べによると、機能性表示食品の市場規模の伸び率が2021年度、鈍化する見込みだという。20年度は、前年度比19.7%増の3,044億円(メーカー出荷金額ベース)と、前年度に引き続き大きく伸びたと推計されるものの、21年度は3,278億3,000万円、伸び率としては7.7%増の1ケタ成長にとどまる見込みだとしている。
調査期間は21年8月~22年1月。今月7日、調査結果の一部を公表した。
サプリ、競合激化が影響 一方で一般食品は2ケタ成長維持か
伸び率鈍化の要因について同社は、サプリメントに関しては「競合激化の影響」などを受けたと見る。「いち早く大型商材の機能性表示食品化や、積極的な広告展開によるヒット商品の誕生などが見られ、20年度までは高い成長率にて進捗していたが、これらの動きが一巡化しつつある」としている。
一方、一般食品については21年度も「引き続き2ケタ成長が続く」見込みだとする。特に、飲料が好調だと指摘。「身近な販売チャネルで購入でき、手軽に飲用が可能であることから、トライアルの需要が図りやすく、積極的な広告宣伝により売上を伸ばす商品が散見される」とする。
同社の調べによれば、機能性表示食品の21年度見込み市場規模を食品形態別に見ると、3,044億円の過半数に当たる53.6%をサプリメントが占め、次いで一般食品が42.6%、生鮮食品が3.8%と続く。
同社の調べで機能性表示食品の市場規模は、16年度が1,364億6,000万円。以降、20年度までは最大31%(17年度)の2ケタ増で推移していた。
健康食品市場規模、2.5%増の約8,880億円に
矢野経済は健康食品の市場規模も調査。20年度は推計で前年度比0.4%増の8,659億9,000万円、21年度は同2.5%増の8,880億3,000万円が見込まれるという。
調査した健康食品の範囲は、錠剤、カプセル、粉末、ミニドリンクなどの形状の「健康維持・増進、美容等を目的とした食品」とのこと。市場規模には、同じ形状の機能性表示食品、トクホ(特定保健用食品)も含めた。
コロナ禍での需要拡大「一巡」
健康食品市場規模の拡大要因について同社では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う消費者の健康・免疫に対する意識の高まりを挙げる。
加えて、巣ごもり需要を受けた通販チャネルを中心とする市場の伸長をはじめ、運動不足による肥満の増加、膝や筋肉の衰えへの不安、睡眠・ストレスの増加──などといった健康面への不安に対する対策として機能性表示食品を中心に需要が見られた、という。
また、健康食品の市場規模を流通チャネル別にみると、20年度は、特に、一般貿易および越境ECといった「海外向け」の市場規模が大きく拡大。伸び率は前年度比26.2%増、金額は122億2,000万円と100億円の大台を突破したとする。
一方で、「コロナ禍での需要拡大は2021年度中旬以降一巡化」していると同社は指摘。「通信販売における新規顧客獲得効率も徐々に戻りつつある」と見る。
ただ、コロナ禍に対する不安は依然払しょくされていない。そのため、高齢者層を中心に、健康・免疫に対する関心が高い状態が続いており、「健康食品の需要は引き続き堅調」だとしている。