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自然の恵みから新しい食品を作る 75周年のカルビー、強い商品は鮮度管理と原料の品質管理が支える

 カルビー㈱(東京都千代田区、江原信社長)は広島市で創業。煎餅・あられ類は米から作るという常識から離れ、小麦粉で『かっぱえびせん』を開発してヒット。これを始め、各種の商品に通底するのは、未利用の食糧資源に着目した開発であるという点だ。さらに、グループ全体で構築する独自のバリューチェーンが、同社の基本的な強さにつながっている。

未利用食糧資源の活用と健康に資する商品の開発
 
 同社は1949年に前身となる松尾糧食工業㈱として設立し、2024年が創業75周年となる。創業者の松尾孝氏の実家は戦前には米ぬかや穀粉を商っていたが、同氏は米ぬかから胚芽を取り出し、これに他の原材料を配合した団子を開発し、戦中・戦後に代用食として販売した。
 同社の商品開発の基本的な考え方として「未利用の食糧資源を活用する」というものがあるが、それはこの頃からのものと言える。また、創業地広島は原爆の惨禍に見舞われ、戦後は全国的に食糧難に陥ったこともあり、健康に資する食品という姿勢を取るようになった。なお、同社の社名は、カルシウムとビタミンB1の組み合わせが元となっている。
 設立当時キャラメルなどの飴類も製造していたが、飴類の競合が増えるなか苦戦。55年にカルビー製菓㈱として再スタートしたが、以降は飴以外の新しい菓子の開発に注力した。
 そこで着目したのが、アメリカから大量に輸入されるようになり、価格も安い小麦粉だった。当時は米がまだ配給制で、これを製菓材料とするには十分な量の確保と原料価格に問題があったのに対し、小麦粉を使って、あられのような食感の菓子を考えた。そうして開発した商品を『かっぱあられ』として発売。さらにフレーバーを変えながらシリーズ化し、64年にリリースしたのが『かっぱえびせん』。そして「やめられない、とまらない」のキャッチコピーでテレビCMを打ち始め、70年前後には大ヒット商品となった。

鮮度管理を重視する姿勢、原料品質は全段階で管理
 
 その後、71年に『仮面ライダースナック』がヒット。次いで、札幌オリンピックが開催された72年冬に『サッポロポテト』を発売した。
 『サッポロポテト』は、当時はでんぷん原料以外にほとんど用途開発がされていなかった国産じゃがいもを原料としたもので、これも未利用食糧資源の活用の例となる。
 一方、『かっぱえびせん』がヒットする前の67年にニューヨークで開催の国際菓子博覧会に出展した。このときに経営陣がアメリカのスナックビジネスの状況を知ったことが、後の事業に大きく影響を与えた。
 その1つは、アメリカの菓子市場でのポテトチップスのシェアの大きさで、これが同社の次の柱とイメージされた。
 また、現地のスナック類の菓子卸からは鮮度の重要性を教示された。ポテトチップスなどのスナック類は油脂を含む。これは酸化によって品質を落とす。従って、高鮮度のものを店頭にジャスト・イン・タイムで陳列することが勝敗を決するということであった。
 以降、同社は適時かつ平準な物流と、行政が賞味期限表示を採用した際にも製造年月日表示にこだわるなど、鮮度維持に力を入れてきた。
 また、じゃがいも調達では圃場、工場、売場の各段階で原料の品質管理を行って一元管理する「三連番地管理」という独特のシステムを構築し、現在はさらに、独自にバリューチェーンへと進歩させている。
 近年のヒット商品の『フルグラ』にも、多様な食糧資源の活用、健康、適切な物流、管理体制が生きている。同商品は90年代に『フルーツグラノーラ』として発売したが、2011年に『フルグラ』に名称変更し、同時に食べ方の提案やサンプリングも行いながら小売店の配荷率を高める活動を展開した。このようなトータルな活動の結果として、『フルグラ』は同社の主力商品の1つとなった。

【齋藤訓之】

COMPANY INFORMATION
所在地:東京都千代田区丸の内1-8-3
丸の内トラストタワー本館22階
TEL:03-5220-6222
URL:https://www.calbee.co.jp/
事業内容:菓子・食品の製造・販売

(冒頭の写真:同社提供)

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