明治、「この先もファンと一緒に」 『明治 エッセル スーパーカップ』が30周年
発売当初から“濃厚なコクと後キレの良さ”にこだわった製品づくりを行ってきた『明治 エッセル スーパーカップ』。今ではそのファン層は10代の若者から70代のシルバー層まで広がりをみせる。㈱明治 フローズン・食品事業部フローズンデザートGの吉岡征史氏(=写真)に、長年支持を受ける同商品の魅力のほか、30周年を祝うプロモーション内容を中心に話を聞いた。
最大の特徴は、「コクとキレ」の両立
商品名の「エッセル(Essel)」は、非常に優れるを意味する「エクセレント(Excellent)」と、絶対に必要な・基本的なという「エッセンシャル(Essential)」から生まれた造語だ。さらに、1994年当時は150mlのカップアイスが主流だったところ、より食べ応えのある200mlのサイズで商品化したことから、名称を「スーパーカップ」にしたそうだ。
「ライバル商品との差別化で容量を多くし、持ったときの重さ、見た目も含めて世の中にインパクトを与える商品にしたいというのが開発時のコンセプトでした。その反面、濃厚な味わいで200mlだと少しくどいのではないかとの懸念もあり、食べ終わりの満足感にプラス、さっぱりとしたキレも必要ということで、コクとキレが両立できるような味わいにこだわって開発。それが多くの方に支持されました。現在もコクとキレにはこだわって製造しています」
発売時には他社の強力なトップブランド商品があったそうだが、実食したユーザーからの反響や営業スタッフの努力のかいもあり、半年後にはカップアイスのトップブランドの地位を獲得するまでになった。現在では『超バニラ』、『抹茶』、『チョコクッキー』などの定番商品に加えて、毎年のように期間限定商品を発売するなど商品群のフレーバーを広げる取り組みも行っている。
※『明治 エッセル スーパーカップ チョコクッキー』(左)と『ーー抹茶』(中)、京都・よーじやカフェ 嵯峨野嵐山店だけで味わえるコラボスイーツ『ーーよじこカップ 抹茶』。
期間限定商品の発売は、ファン層を広げるチャレンジ
どのフレーバーにおいても中高生などのティーンエイジャーをコアにしてプロモーション戦略を立てているが、長年続く商品だけにファン層も幅広くなっている。また興味深いのは、それぞれのフレーバーごとにファン層が存在している点だろう。
「今夏には期間限定で『カフェオレ&チョコチップ』を発売しましたが、カフェオレだと若い男性、紅茶風味だと女性という具合に、それぞれのフレーバーによって支持層も異なっています。基本的には10代の若い年代層がメインターゲットなのですが、例えば『超バニラ』ですと、それこそ長年のファンとして70代のシニアの方が多い、など。当社としてはこれまであまりカップアイスを食べて来なかった方にも実食の機会をつくっていただきたい、そのためもあって毎年のように期間限定商品を発売しているのです」
吉岡氏が語る通り、過去には「巨峰」、「桃」、「メロン」などのフルーツ系はもちろん、「小倉」、「杏仁豆腐味」、「スイートポテト味」など、さまざまな期間限定商品をリリース。そんな中、若者層に根強い人気を持つ『ミント味』がたびたび商品化されているのも、ティーン層を意識しているからこそ。そうしたチャレンジ精神がロングラン商品を支える一因にもなっているようだ。
オンリーワンの味わい、「ずんだ」を商品化した狙い
30周年の記念商品としては『明治 エッセル スーパーカップ ずんだ』を今年9月より全国発売した。開発にあたっては昨年、新フレーバーのアイデアを募集し商品化・発売する「みんなの声で決まる新フレーバー開発プロジェクト」を実施し、その中から商品化の要望が多く寄せられたフレーバーの1つが『ずんだ』だった。
「アイスクリーム市場全体でも、ずんだフレーバーは少ないですし、そのインパクトに加えて『どんな味なんだろう?』と関心を持ってもらえるのではと考えた、これも30周年の節目だからこそチャレンジできた商品です。同時に、現在は商品本体から派生したコミュニケーションも大切にしなければならない時代ですから、まだブランドとしてリーチできていない方々にもSNSなどを通じて知ってもらえればとの想いもあります」
30周年のキャンペーン関連ではほかにも、㈱バンダイとコラボしたカプセルトイブランド「ガシャポン®」とのコラボ商品『アイスマスコットチャーム2』を全国の玩具店で発売、㈱宝島社から『明治 エッセル スーパーカップ 超バニラ』のポーチが付録になったムック本の書店発売など、さまざまな展開を行っている。
※『ーーずんだ』(左)と9月11日まで行った「オリジナルえだまめクッション(ブランケット入り)」SNSのプレゼントキャンペーンの告知フライヤー。
多彩な楽しみ方を、SNSを通じて発信していきたい
次の35、40周年に向けては、どんな方向性で臨もうとしているのだろうか。
「時代性もありますが、特に今の若い方は食事中でもスマートフォンが手放せない生活スタイルとなっています。カップアイスは両手で食べるものですから、そうしたユーザー習慣にどうアプローチしていくか、は課題の1つと捉えています。一方では、エッセルを使ったアレンジレシピで、楽しみ方の幅を広げる取り組みも行っています。例えば『超バニラ』を使ってクリームシチューやバターチキンカレーを作る、あるいは『抹茶』を使用したカルボナーラなど。過去に紹介した抹茶の炊き込みご飯はかなり評判となってテレビ番組でも何度か取り上げてもらいました。実際アンケートを取ってみると、そのまま召し上がるだけでなく、姿形を変えても楽しめる、普段とは違った豊かな味わいになるとアレンジレシピを実践されている方もけっこういらっしゃる。そんなふうに多彩な提案も続けて行っていきたいと思います」
今回のキャンペーンのコンセプトは『withエッセル』。これまでも、そしてこれからもお客様と一緒に歩んでいきたいとのブランドメッセージでもある。喫食シーンのどこかに常にエッセルがいろんな形であり続ける。そんなイメージを描きつつ、引き続きさまざまな提案を行っていきたいと吉岡氏は語ってくれた。
【堂上 昌幸】
(下の写真:30周年記念の関連商品としてオリジナルポーチが付録になったムック本『明治 エッセル スーパーカップ 30th Anniversary ポーチ BOOK』(宝島社)。/写真はいずれも同社提供)