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探訪、スーパーオリエント39(1) 40年前の雑誌記事、商品テスト結果に注目

 「酵素製品をテストする」──そんな見出しの記事のコピーが手元にある。

 記事の前文を引用する。「酵素製品とは、野菜や果物などを発酵させて抽出したエキス。『腸をととのえ、食物の消化吸収をよくする』などの有効性をPRして売られています」

 その上でこう続く。「しかし、内容成分や効果については不明な点が多いといわれます。そこで市販品の中から、液状タイプ三品と粉末タイプ二品を選び、主成分、酵素活性はあるかなどをテストしました」

 ここで言及されている酵素製品とは、記事の前文からもうかがわれるように、多種多様な野菜や果物などから作られる「植物発酵エキス」を原材料にした健康食品のことだ。

 植物発酵エキスは、2010年代中頃、ファスティング(断食)のブームに乗って市場規模が大きく拡大した経緯のある健康食品の定番素材。新型コロナ禍以前には、中国からの訪日客を中心にした旺盛なインバウンド需要を呼び込んだこともある。

 一方、この記事は、今からおよそ40年前、1986年4月発刊の雑誌に掲載されたものだ。雑誌の名は『SAFETY(セーフティー)』という。

 今はもう存在しない同誌の表紙には、「食生活改善研究会の商品テスト・生活情報誌」とある。広告収入に頼らず、食品に関する情報を消費者や生活者に提供する、いわば、食べ物に特化した『暮らしの手帳』のような雑誌であったらしい。

 そういった雑誌に掲載された、「酵素」を看板に掲げた健康食品をめぐる独自の商品買上げテスト結果を伝える全8ページにわたる記事。

 「活性力がないのに〇〇酵素(と名付ける商品名)は問題」だと正面から指摘するなど批評性に富む内容なのだが、買い上げテストの結果を見ると、5製品中1製品が独特な数字を示している。

 当該製品は、液体ではなく、粉末タイプ。記事にある栄養成分分析結果表によれば、タンパク質の含有量が約50%(他の4製品は0.1~約8%)と他の製品に比べて顕著に多い一方で、糖質に関しては約30%(他は約64~85%)と少ない。

 また、酵素(消化酵素)活性の有無を分析した結果の一覧を見ると、この製品にだけ活性が認められている。記事に示された分析方法は割愛するが、α-アミラーゼと中性プロテアーゼについて活性が認められた(リパーゼについては認められなかった)という。野菜や果物など、原料に由来する酵素が残存していたと考えられる。

 そのように高タンパク・低糖質、かつ、酵素活性が見られた製品の名称は、「オリエント酵素 39ENZYM」とされている。

 「39ENZYM(酵素)」とあるが、39種類の酵素が添加されている訳では勿論ない。一方でこの商品名。記事では、「実際には39種類の野菜や果物の材料を使っているということです」と伝聞のかたちで紹介しつつ、他の製品と同様、酵素そのものが含まれているなどと消費者に誤認される恐れを指摘。表示の「改善が必要」だと苦言を呈す。

 そのためだったのかどうか。この製品はのちに、名称が改められることになる。

 「スーパーオリエント39」に改められた。86年当時は、最終商品として、主に卸販売で流通されていたが、現在は原材料販売が主体。従って現在は、植物発酵エキスの製品名である。

 一方、販売者は現在も変わっていない。1970年創業のインターナショナルフーズ㈱(東京都多摩市)だ。

 販売開始以来「製法を変えたことは基本的にない」と同社は話す。そうであれば、86年当時に行われた商品テストの結果は現在も変わらないことになる。他の多くの植物発酵エキスとは異なり、高タンパク・低糖質、かつ、酵素活性が失われていないのはなぜなのか。

 「オリエント酵素 39ENZYM」改め「スーパーオリエント39」を全5回で紐解く。

(つづく)

【石川太郎】

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