サプリ、栄養素摂取量への寄与度は? 東邦大学医学部の研究チームが調査、海外誌に論文
サプリメントなどの「いわゆる『健康食品』」は、ビタミンやミネラルなどの栄養素の摂取量にどのくらい寄与しているのだろうか──サプリメントの利用者が世界的に増えている中、東邦大学医学部の研究グループが日本人を対象に、そんな疑問に答えを出すための研究を実施、先月下旬、研究結果をまとめた論文が海外学術誌に掲載された。今月3日、国内向けにプレスリリース発表も行った。
ビタミンB6、過剰摂取の恐れ指摘
発表によると、2012年2~3月に日本人成人392人(20~69歳)から収集された食事摂取量データを二次解析したところ、サプリメントと栄養強化食品は、一部の栄養素を除き、日本人の利用者が過剰摂取のリスクなしに、特定の栄養素を適切に摂取するのに役立っていたことが分かった。
一方、サプリメントと栄養強化食品の利用者は、それらの非摂取者と比べて、通常の食事からのビタミン・ミネラルの摂取量が多い傾向にあることが分かった。この結果について研究グループは、サプリメントと栄養強化食品の「利用の必要性が相対的に低い人が(サプリメントや栄養強化食品を)使用している傾向にある可能性がある」と推測。実際、サプリメントや栄養強化食品の利用者の2%で、ビタミンB6を過剰に摂取している恐れがあったという。
この研究発表を行ったのは、東邦大学医学部の朝倉敬子教授、杉本南助教らの研究グループ。「日本人の食事摂取基準」(2020年)の策定で中心的な役割を担った佐々木敏・東京大学名誉教授も名を連ねる。
食事摂取量データを二次解析した392人のうち、「栄養強化食品および/またはサプリメントの利用者」と特定されたのは、全体の約3割にあたる122人。サプリメントと栄養強化食品からの栄養摂取量が各栄養素の総摂取量に占める割合は、調査した全25種類の栄養素について、栄養強化食品は4%未満、サプリメントでは21%未満だった。
サプリメントについて、各栄養素の摂取量に対する寄与割合の平均値を算出したところ、その平均値が1%を超えた栄養成分は13成分あった。そのうち寄与率が高かった上位3成分は、ビタミンB6(20.6%)、リボフラビン(18.3%)、チアミン(17.9%)の順だったという。
食事摂取基準の2020年版では、ビタミンB6の推奨量は男性18歳以上で1日あたり1.4mg、女性18歳以上で同1.1mg。過剰摂取のリスクがあるため耐用上限量も設定されていて、年齢によって数値は異なるが、50~64歳男性で同55mg、同じく50~64歳の女性は同45mg。
研究結果について、研究グループは、「日本人の栄養素の摂取量を改善する健康政策の立案に役立つことが期待される」としている。
研究結果をまとめた論文は、先月27日付で『BMC Nutrition』で掲載された。論文名は「Contribution of fortified foods and dietary supplements to total nutrient intakes and their adequacy in Japanese adults」。BMCのサイト上で閲覧できる。
(文中の図:研究結果の一部。東邦大学の報道発表資料から)