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2020年海外サプリメント市場を総括!~21年のトレンドは?(前)

 2020年のサプリメント市場は、COVID-19の影響を強く受けた。なかでも米国サプリメント市場は、対前年比112.1%という歴史的な成長率が予測される。一方、サプリメント販売の大手企業GNC社は、昨年6月24日、10億ドル近くある債務の再編のため、チャプター11(米連邦破産法第11条)を申請した。COVID-19パンデミックによる小売店舗休業命令により大きな痛手を受けたためとされている。㈱グローバルニュートリショングループ(東京都豊島区)の武田猛社長が、20年の米国サプリメント市場の概要と21年のトレンドについて述べる。

<歴史的な成長を遂げた市場(前年比12.1%増)>
 昨年の米国サプリメント市場に異変が起きた。Nutrition Business Journal(NBJ)は20年サプリメント市場を対前年比約6%の成長と予測していたが、COVID-19の影響を受けたため、対前年比112.1%という歴史的な成長率に上方修正をした。その結果、20年の米国サプリメント市場は約$54.5Mとなる見通し。ヘルスベネフィット別に対前年成長率を見ると、Cold/Flu/Immunity(風邪/インフルエンザ/免疫)51.2%、Sleep Support (睡眠サポート)30.1%、Mental Health/Mood and Stress(メンタルヘルス/気分とストレス) 29.8%、General Health (一般的な健康)15.4%が高い成長率を示している。19年の対前年成長率がそれぞれ8.1%、17.4%、12.3%、6.0%であったことを考慮しても、非常に高い成長率であることがわかる。

 20年のCold/Flu/Immunityサプリメント市場規模は$5,189Mであり、米国サプリメント市場の9.5%を占めると予測されている。この驚異的な成長の背景にあるものは、言うまでもなくCOVID-19 禍である。米国サプリメントの販売チャネルは約6割が店舗(自然食品店、ドラッグストアなど)であり、インターネット、メール・オーダーは13%に過ぎない(18年)。一方、Cold/Flu/Immunityサプリメントは、43.2%がダイレクトマーケティングとなっており、これも要因になっているとも思われる。

<VC36.3%増、マルチV11.9%増>
 米国消費者にとって「免疫」と同義語ともいえるビタミンCは、36.3%の成長率で19年の$587Mから$798Mに成長すると予測されている。2019年の対前年成長率は5.4%だったので6倍以上成長する見込み。マルチビタミンは、19年の対前年成長率は0.2%に過ぎなかったが、20年は111.9%と驚くべき数字を予測。市場規模も倍増し、$1,150Mとなる見通しだ。

 免疫訴求のプロバイオティクスは、19年の売上$322Mから39.7%増加し、$450Mとなる見通し。因みに、Gastrointestinal Health(消化器系の健康)訴求のプロバイオティクスの市場規模は$2,020Mと予測されている。最も成長率の高い素材・成分はエルダーベリーで、2020年は成長率200.3%、$428Mとなる見通しだ。2019年$148Mからなんと3倍の市場規模になる。

<睡眠サポート・メンタルヘルスも伸長>
 Sleep Supportサプリメント市場は$1,050Mとなる見通し。成分別に見ると、トップのMelatoninが$496Mで47.2%のシェアを占めており、対前年比117.1%の見通しである。次にCombination herbsが$191Mで18.2%のシェアを占めており、対前年比112.7%。次にHemp CBDが$167Mで115.9%のシェアを占めており、対前年比153.6%となっている。Magnesiumは第5位に入っており、$35Mで対前年比135.1%となっている。

 一方、20年のMental Health/Mood and Stressサプリメント市場は、$1,160Mとなる見通し。成分別に見ると、トップのHemp CBDが$220Mで18.8%のシェアを占めており、対前年比130.2%の見通しである。次に、Muitivitaminsが$108M、Homeopathicsが$107M、5-HTPが$89Mと続く。Sleep Supportサプリメント市場と比べて、分散した市場となっている。
 
 ConsumerLab社による消費者のトレンド・嗜好の年次調査では、同社のニューズレターを購読している9,782人のサプリメントユーザーへの調査に基づき、169種類以上のサプリメント商品の20年のトレンドが発表された。同社によると、この調査の回答者は皆少なくとも4種のサプリメントを日々摂取している積極的なサプリメント消費者である。

 過去1年でコラーゲンは4.1%上昇し、マグネシウムは2.3%、CBDは2.6%上昇した。最も人気が下がったのは9.9%減少したクルクミン・ターメリックで、シナモンは9%、CoQ10は4.4%、ココナッツオイルは4.3%、魚油は3.9%減少した。ビタミンDは0.4%減少しているものの、回答者の66%が購買している最も人気のあるサプリメントだ。
 
 マグネシウムは変わらず人気上昇中で、魚油を抑えて2位の座を守り、53.5%の回答者が使用していた。CoQ10は20年4位の座をキープし、後にマルチビタミン(-1.3ポイント)、プロバイオティクス(-2.7ポイント)、クルクミン・ターメリック(-9.9ポイント)、ビタミンC(-1.0ポイント)、ビタミンB複合体(-1.1ポイント)、ビタミンB12(+2.2ポイント)が続いた。トップ50製品中30製品の人気が低下した一方、19製品は人気が上昇した。回答者のうち14.5%に使用されているCBDは31位に上昇したが、その上り調子はここのところ落ち着いてきている。

 2017年末には5.6%の回答者がCBDを使用していたが、1年後の18年末には11.9%に上昇し、前年の84位から40位まで順位を上げていた。

(つづく)

<筆者プロフィール>
㈱グローバルニュートリショングループ 代表取締役 武田 猛 氏
麻布大学環境保健学部卒業、法政大学大学院経営学専攻修士課程修了。アピ㈱、サニーヘルス㈱を経て2004年1月、㈱グローバルニュートリショングループ設立、現在に至る。国内企業の新規事業の立ち上げ、新商品開発、マーケティング戦略立案などのコンサルティングや海外市場進出の支援、海外企業の日本市場参入の支援を行う。現在まで、国内外合わせて600以上のプロジェクトを実施。著書に「健康食品ビジネス大事典」(パブラボ社)など。

(冒頭のグラフ:米国Cold/Flu/Immunityサプリメント市場規模推移)

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